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Going for the One

Going for the One

136■Going For The One / Yes
洋楽に親しみ始めたのが76年ごろだったので、大物プログレ・バンドの久々の新作がこぞって出た77年はリアルタイムです。ELPピンク・フロイドもイエス次の一手がなかなか出せず、そのうちに時代の流れは、プログレやハードロックといった過剰なロックには逆風の、シンプルなものが重視される傾向にありました。ELPは各メンバーのソロを片面に収めた2枚組「Works」、フロイドは現代文明を風刺した「Animals」、そしてイエスはリック・ウエイクマン(kb)が復帰した「Going For The One」をリリースしますが、当時の評はともかく、現在では緩やかな下降線をたどっている、という評価がされています。
けれど、個人的には、全盛期の「Close To The Edge」よりもなじみが深い、イエスでは一番好きな1枚です。それまでのロジャー・ディーンによるファンタスティックなイラストの世界から、フロイド御用達のヒプノシスの超現実的な世界にシフトした、ジャケット・デザインの面でも変革は明らかですが、前任者のパトリック・モラーツが言語の問題で、メンバーとのコミュニケーションが十分ではなかったという話もあって、旧友ウエイクマンの復帰は大いに期待させました。大作"Awaken"では、メンバーの力量がいかんなく発揮されていますが、"Wonderous Stories"、"Turn Of The Century"といった比較的短めの曲も充実しています。とりわけ、スティーヴ・ハウのスライドgが聞けるタイトル曲のパンチの聞いた演奏は、なかなか素晴らしいです。