kiss#2

悪の華(紙ジャケット仕様)

悪の華(紙ジャケット仕様)

139■One Last Cold Kiss / Mountain
ロッカーはスリムであるべきだ、とは思わないけどスリムな方がカッコイイことは確かです。それでも動く姿よりも音の方が圧倒的にリアリティがあった僕が、好んで聴いたロックは、ヴィジュアル的に全くダメな髭面、長髪のヒッピー然としたものも多く、実際に動く姿がyoutubeで見られるようになると唖然としてしまうのです。
マウンテンのg,voのレスリー・ウエストは巨漢で知られる人で、この4人組はお世辞にも見た目は良くはなかったです。クリームのプロデューサーだった、フェリックス・パパラルディ(b,vo)が、ウエストのソロを経て、正式にマウンテンをスタートさせたのが69年の事です。ウッドストックにも出演して(このときの事は"For Yasgur's Farm"で歌われます)、70年に「Climbing」でデビューしています。「Nuntucket Sleighride」('71)を挟んで71年にリリースされた「Flowers Of Evil」('71)は片面スタジオ、片面ライヴの1枚。僕は77年にCBSソニーが企画したロック名盤という廉価盤シリーズで買っていますが、そのきっかけはFMの「Music Scope」でOAされたライヴサイドを聞いたからです。今となってはそのライヴサイドは、組曲が長ったらしく感じますが、当時はウエストの硬軟取り混ぜたgプレイが耳に残りました。逆にスタジオサイドでは、キャッチーにまとまったタイトル曲(ボードレールの詩集からタイトルを取りましたが、ヴェトナム戦争に赴く若き兵士の事を歌っています)、スライドがたっぷりフィーチャーされた"Crossroader"が印象的です。
"One Last Cold Kiss"は、パパラルディのクラシカルなセンスが生かされており、ストレートなハードロックながら、哀愁を帯びたメロディが耳に残ります。