man#2

ムーンドッグ・マチネー(紙ジャケット仕様)

ムーンドッグ・マチネー(紙ジャケット仕様)

149■Third Man Theme / The Band
ザ・バンドがそのルーツを振り返った企画もの「Moondog Matinee」('73)は、クラレンス・ヘンリーの"Ain't Got No Home"に始まり、リー・ドーシーの"Holy Cow"(アラン・トゥーサン作)、ボビー・ブランドの"Share Your Love With Me"、エルヴィスの"Mystery Tarin"と続きます。まあニュー・オーリンズから始まる彼らのルーツめぐりの旅というのは理解できるのですが、5曲目に登場する"Third Man Theme"には、当時のファンや評論家はびっくりしたでしょう。アントン・カラスのzitherの演奏で知られる、映画「第三の男」('49英)のテーマ曲です。キャロル・リード監督、オーソン・ウェルズアリダ・ヴァリジョゼフ・コットン主演のクラシック・サスペンスですが、このガース・ハドスン主導のインストは、synを使ってユーモラスな表情を見せています。たとえば後年の"Theme From The Last Waltz"にも影響を与えてそうなメロディーです。
このアルバムは、最初に書いたようにルーツめぐりとなる企画ものですが、この背景にはディランと組んでの全米ツアーを控えたり、メンバー間の人間関係に徐々にほころびが出始めたり、といった裏の事情も存在するようです。もちろん当時はそんな事は全く語られませんでしたが…