town#3

Dream Academy

Dream Academy

191■Life In A Northern Town / Dream Academy
ドリーム・アカデミーの85年の夏にヒットしたデビュー・シングル"Life In A Northern Town"(wea)は、当時新潟住まいだった僕には、笑えないタイトルでした。戦後最大の大雪というのを毎年の様に更新していたあの頃*1、北国(と言うほど緯度は北ではなかったですが)の暮らしは、ア・ヘーイ・マンマンマと楽しげに歌えるほどではなかったのです。少なくとも、僕にとって。それでもこの曲には、厳しい(あくまでも僕の私見ですが)冬の寒さを笑い飛ばしてしまえるくらいの強さが感じられました。
平易な英語による歌詞とヴィディオ・クリップのおかげでイメージがわきますが、冒頭の「救世軍の楽隊の演奏が始まって、子どもたちはレモネードをがぶ飲み…」というくだりが好きです。
ニック・レアード・クルーズ、ギルバート・ゲイブリエル、ケイト・セント・ジョンからなるこのグループは、基本線はフォーク・ロックなんですが、そこは80年代だけあって、ストレートな音にはなっていません。それでもこのアコースティックなムードは、ネオアコが消滅してしまった85年には優しく僕の心に届いたのでした。クルーズはアクトというバンドにいた人で、その昔エーハブ船長に聞かせてもらったその音源はなかなか小粋なポップでした。セント・ジョンはoboeを吹く美人アーティストでストロベリー・スウィッチブレイドジュリアン・コープのアルバムでその名前を見かけたことがあります。
アルバムには、他にも凝り過ぎてなんだかよくわからなくなってる曲もあって、サイケデリックから15年以上たち、ネオ・サイケなるムーヴメント(ドクター&メディックスとか、アメリカのペイズリー・アンダーグラウンドとか)も生まれてた頃なので、そういう方向の曲もあります。ただあくまでも表面をなぞった程度のファッショナブルなサイケデリックなイメージです。

*1:冬の間一角に集め固められた雪の塊から誰かの原付バイクの一部が雪解けととも顔を出すと春を感じました