Mott:Mott The Hoople

革命(紙ジャケット仕様)

革命(紙ジャケット仕様)

勢いに乗って続きを。前作「All The Young Dudes」の成功(#21UK/#89US)でバンド存続にめどがついたモット・ザ・フープルですが、ボウイのprodということもあって、グラムロックの仲間入りとされたり(音楽的にはやはり多少違います*1ね)、常にボウイと共に語られたりと弊害もありました。またボウイ及びプロダクションが急速に成功を収め、忙しくなった事もあり、73年にはメインマン・プロダクションから離れ、完成させたのが「Mott」です。自作曲が取り上げられないことを不満に思ったヴァーデン・アレン(kb,vo)が辞め、イアン・ハンター(vo.kb)、ミック・ラルフス(g,kb,vo)、オヴァレンド・ワッツ(b)、バフィン(ds)の4人組となったモット・ザ・フープルですが、結果的にイアン・ハンター色がより強まった事も事実です。
当初はロイ・ウッドがprodとして予定されていましたが、多忙なため(73年はロイ・ウッドにとってもピークの年でした)自分たちでprodし、前作以上の成功を収めました(#8UK/#35US)。

先の全米ツアーの際、プレスリーの豪邸、グレイスランドに侵入を試みたエピソードから生まれた"All The Way From Memphis"(イントロの感じがリオン・ラッセル的)、"Brown Sugar"的な"Drivin' Sister"など強力なロックン・ロール、感傷的なバラードの"Ballad Of The Mott The Hoople"、ポップでキャッチーなメロディーの"Honaloochie Boogie"といったナンバーが好調です。とりわけ「Diary Of A Rock'N'Roll Star」という日記本まで出したハンターの文才が冴える"Ballad〜"は、沁みます。ゲストはロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイ(sax)、ミラー・アンダーソン(g)ら。ラルフスが持ち込んだ"Can't Get Enough"が却下され、採用されたのが"I'm A Cadillac"のみとなった事もあり、ラルフスはレコーディング後に脱退しています。またラスト曲"I Wish I Was Your Mother"では、初期のディランに傾倒する姿が復活しており、意外とアイリッシュ的に聞こえるのも面白いです。
最後に"Hymn For Dudes"にコーラスで参加したサンダーサイズ(Thunderthighs)
について。カレン・フリードマン、ダリ・ラルウ、ケイシー・シンジからなるコーラスグループで、ルー・リードの"Walk On Wild Side"のコーラスで注目されました。モット・ザ・フープルとのつながりは次作でも続きますが、74年にはモンドなトップ30ヒット"Central Park Arrest"を放っています。

これはリンジー・ディ・ポールの曲だそう。

*1:レココレのグラム・ロック特集('05.6)はなかなか力が入った特集でした