10003★★★地獄の饗宴('61日本)


監督:岡本喜八
主演:三橋達也、団令子、池内淳子田崎潤、砂塚秀夫、中北千恵子、佐藤慶
未見だった喜八第11作は、知らざれる傑作フィルム・ノワール。この時期の作品と言うと「暗黒街もの」は、いくらバタ臭くやってみても(実際当時の評は「バタくさい」のオンパレードだ)、どうしても日本的なウエットな感じが漂ってしまってていけないが、この作品はハードボイルドと言うよりはフィルム・ノワール的なムード。主人公の三橋は外人コールガールのポン引きなんだけど、恐喝もこなす悪党で、拾ったフィルムに死んだはずの軍隊時代の上官が映っていたことから起きるサスペンスアクション。たたみかけるような演出はさすが喜八で、砂塚の客演もあって「殺人狂時代」的なムードもあります。東京映画ということもあって、低予算で作られながらプログラム・ピクチャーの心意気を感じさせる傑作。但し放送禁止用語がバンバン出てくる関係でソフト化が見込めなかったのでしょうね。乞DVD化。饗宴と書いて「うたげ」と読ませる。ラストもゴダール的というかヒューストン的。