■Grand Hotel:Procol Harum

Grand Hotel

09年最新リマスターの「Grand Hotel」('73)。いうまでもなくChrysalis時代の最高傑作として既に評価の定まった1枚です。このアルバムのことを知ったのはイーグルスの「Hotel California」の日本盤LPの水上はるこ女史のライナーだったのですが、78年ごろ東芝EMIから再発されたものを買って(WWS規格)、その格調高さになじめなかったことを思い出します。70's当時からザ･バンドとの類似性が言われてたのかどうかは分かりませんが、今ではすっかり英国のザ･バンドというと、プロコルの話が出てきます。ソウルフルなゲイリー・ブルッカーのvoとリチャード・マニュアルが、2台のkbがマニュアルとガース・ハドスンにダブります。
さて荘厳なタイトル曲は、ジャケットそのままの印象。すなわち正装した長髪のロック・バンドでどことなく違和感がありますが。ベドラムを結成するため脱退したデイヴ・ボールに代わって新参加のミック・グラバム(元コチーズ)が弾きまくる"Toujours l'Amour"、ブルッカーの寓意に満ちたvoがシンプルな"A Rum Tale"、"TV Ceasar"は洗練されたブリティッシュ・ロックです。ロンドン土産は娼婦からもらった性病だったというくだりがBBCによって放送禁止となったシングルの"Souvenior Of London"や"Bringing Home Back Bacon"はザ・バンドの影がちらつきます。スウィングル・シンガーズのクリスチャン・ルグランのスキャットをフィーチャーした"Fires"も格調高さを物語っています。そして文句なしに楽しい"Robert's Box"で幕は閉じられるのです。
ボーナスは2曲。シングル・ヴァージョンのタイトル曲と、ボール参加時の"Bacon"のロウ・ヴァージョンです。