world#2


■Crazy World / Climax Blues Band
初期にゴリゴリのシカゴスタイルのブルーズロックを聞かせたクライマックス・ブルーズ・バンド(当時はクライマックス・シカゴと名乗っていました)も、フリートウッド・マックと同じように早い時期にブルーズへの強いこだわりを捨て、徐々にポップなメロディーとファンキーなarrで共に脱ブルーズを図ってきました。この2バンドに共通するのは、180度の転換ではなくゆったりと変化してきた事で、よってアルバム評には「初期のブルーズ・ロックから離れアメリカナイズされた〜」という形容詞が並ぶ事となります。熱心なファン以外はその変化はわかりにくいです。
73年の「Rich Man」(Harvest)で、すでにプログレ風、ボ・ディドリー風といろんなスタイルに挑戦していましたが、レーベルをBTMに移しての「Stamp Album」あたりから顕著になります。76年の「Gold Plated」から"Couldn't Get It Right"が#3(米)とヒットしたのも幸い、マーケットをアメリカにしてラジオでかかりやすいメロディアスなナンバーが量産されました。それでもブルーズへのこだわりは残っており、セールス的に不発だった79年の「Real To Reel」(Sire)では、ピート・ヘイコックの泥臭いslideがたっぷり聞けます。後にクラプトンが得意とするブルージーな歌もの、といった感じで少々早すぎた感もあります。
このアルバムはプレAOR的な"Summer Rain"で幕を開けますが、なめらかな覚えやすいメロディーですが、後半熱っぽいgソロが続いたり、コリン・クーパーの"So Into You"(ARS)風のリフが耳に残ります。個人的にはストリングス・シンセとブルーズgが混在した"Fallen Love"が当時よくラジオでかかってた記憶。そして"Crazy World"もメロウなAOR風ブルーズ・ロックで、ヘイコックのgが歌と歌の間を埋めます。voはデレク・ホルト。