■Buffalo Springfield Box3

Box Set

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67年4月から断続的にレコーディングは続けられますが、スティルスとヤングの確執は日増しに強くなってゆきます。この時点で、スティルス、ヤング、フューレイ、マーティンの4人が正式メンバーでジム・フィールダー(b)がサポートという状態です。ゲストを加えながらレコーディングは継続、従来のバンドスタイルとはかなり異なる形態の布陣も見られます。スティルス作の"Bluebird"は鋭いアコギが印象的なナンバーですが、ボブ・ウエスト(b)、チャーリー・チン(banjo)が参加。ドリーミーな"Expecting To Fly"に至ってはメンバーはヤングのみで、ジャック・ニッチェ(kb)、ラス・タイトルマン(g)、キャロル・ケイ(b)、ジム・ゴードン(ds)にシャーリー・マシューズ、メリー・クレイトン、ブレンダ・ホロウェイらコーラスが加わったバラードで弦が印象的なものです。5月にはブルース・パーマーが復帰するも、ヤングが脱退、デイリー・フラッシュのダグ・ヘイスティングス(g)を加えツアーを乗り切り、6月にはモンタレー・ポップ・フェスにも出演(これにはデイヴィッド・クロスビーがゲストで加わって6人組だったといいます)。
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8月にはヤングが復帰するとヘイスティングスは解雇(後にライノセロスを結成)、。さて前後しますが、ゴタゴタもあってアーメット・アーティガンはprodから手を引き、メンバー個別のprodへと変わってゆきます。ジェームズ・バートンがdobroを弾くポコ的な"A Child's Claim To Fame"、クロスビーの示唆から誕生したという"Rock And Roll Woman"(ヘイスティングスのリズムgがフィーチャーsされえています)、スティルス作ながらフューレイが歌う"Hang Upside Down"、フューレイ作でマーティンが歌う異色の"Good Time Boy"もこの頃の録音です。結局セカンドは「Again」と言うタイトルで67年10月にリリースされますが、ヤング&フューレイによるバラード"Sad Memory"、コラージュ入りのサイケデリック大作"Broken Arrow"はぎりぎりで間に合った感じです。後者にはドン・ランディ(p)、ジム・ホーン(cl)らも参加。
アゲイン<SHM-CD>

アゲイン

さてバッファローとは別にソロを意識したヤングは、8月にアコギの弾き語りの4曲のデモを残しています。後にファーストでの"Old Laughing Lady"、セカンドでの"Round And Round"の元ネタです。
68年にシングルカットされた自信作"Expecting To Fly"のセールスに低さから急速にやる気を失ったヤング、再び脱退騒動を起こしたパーマー等メンバーの心は離れ、ここに録音は残すものの、ソロ的な色合いが濃いものばかり。これをパーマーの後任として加わったジム・メッシーナがスタジオで編集して寄せ集めたものが3枚目としてリリースされた(その時にはバッファローはすでに空中分解していました)のが「Last Time Around」('68)です。
Last Time Around

Last Time Around

このアルバムは12曲が収められていましたが、メッシーナ作の"Carefree Country Day"、ファンの女性ミッキー・キャレンが書いた詩にフューレイが曲を付けたという企画もの"The Hour Of Not Quite Rain"の2曲は、ボックスには未収録です(そういうところが頭にくるんです)。


ヤング作のナンバーでフューレイが歌う"On The Way Home"は唯一バンドの5人がそろった録音でした。。"I Am A Child"はゲイリー・マーカー(b)参加。dsはマーティン。海の香りがするharpが心地いい。
"Special Care"は、バディ・マイルス(ds)以外はスティルスがダビングした豪快なロックナンバーでテンポが遅いのが難か。"Questions"はスティルス、フューレイにジミー・カースティン(ds)によるロック・ジャムで、スティルスの興味がどんどん変わってきてるのが面白い。ラテン色が濃い"Uno Mundo"はスティルス、フューレイにマーティンと言う布陣。これにアメリアッチなhornsが加わる。
"Four Days Gone"と"Pretty Girl Why"は別ヴァージョンで箱には収録。
マーティン抜きでカースティン(ds)、メッシーナ(b)にSFYの"Merry Go Round"はフューレイが歌うバラード。ラスティ・ヤング(steel)が加わった"Kind Woman"はフューレイがバッファロー時代に残した最大の名曲です。"It's So Hard To Wait"は、フューレイ&ヤング作ですがヤング未参加。
以下は「Last Time Around」に見送られたもので、スティルス抜きの"Whatever Happened To Saturday Night"はフューレイのvoが冴えるもの。ポコの1枚目にも収録された"What A Day"はスティルスとフューレイにキャロル・ケイ(b)におそらくはラスティ・ヤングやメッシーナも加わったもの。voがスティルスと言うのが面白い。"Falcon Lake"がヤングとバディ・マイルス(ds)によるインスト。