追悼レスリー・ダンカン

Sing Children Sing

Sing Children Sing

■Sing Children Sing:Lesley Duncan
昨夜マイミクのエーハブ船長さんの日記でレスリー・ダンカンが今年の3月12日に亡くなっていた事を知りました。船長も書かれていたけど、亡くなった事はもちろん、その事を知らなかったまま時が過ぎた事も悲しかったのです。
レスリー・ダンカンのCD化は相変わらず遅れていて、00年にCBS時代の2枚がCD化されたきり。その後のGM時代の3枚は依然として未CD化です。「Sing Children Sing」('71)は、デビュー作にあたるものでそれ以前にはパーロフォン、RCAなどにガールシンガー然としたシングルを残しています。いわゆるsswとしての出発点になるのが本作です。エルトン・ジョンが取り上げた"Love Song"によって、アルバムレコーディングの機会(それまではバッキング・シンガーとしての仕事が中心で、ブルー・ミンクのマデリン・ベルやアップルからソロを出してたドリス・トロイと組むことが多かったようです)が与えられたのでしょう。クリス・スペディング(g)、ペンタングルのテリー・コックス(ds)、トニ・コンポ(b)、当時の旦那のジミー・ホロヴィッツ(org)、エルトン・ジョン(p)らが加わったバックは、きわめてシンプルで、レスリーの歌声を引き立たせます。その少し低い歌声は上品で、心にしっかりとハーケンを打ちます。

僕がレスリーの事を知ったのはサンリオから出てたムック本「ロック名盤のすべて」なので、70's末でしょう。そこで紹介されていたセカンドの「Earth Mother」を西新宿にあったWoodstockにて購入。90'sの初めです。その時点で"Love Song"はオリヴィア・ニュートン・ジョンのヴァージョンで知ってましたが、レスリーの曲とは気づいてません(エルトン・ジョンの「Here And There」を聞いて気付いたのはもっと後です)。その「Earth Mother」は地味な感じが逆に英国的に感じたのですが、聞きこむ事もなく放出してしましました。ですからちゃんと聞き始めたのはGM時代の「Moonbathing」('75)を聞かせてもらってからになります。結果的にそのLPよりもこのファーストの方が好みなのですが、聞けば聞くほど味が出てきます。キャロル・キング風の"Help Me Jesus"は、明るくアップテンポな感じがやや浮いていますが、実は地味な"Sunshine"や"Chain Of Love"あたりがベストトラックでしょうか。有名な"Love Song"はイントロからして、刺し込まれるキラー・トラックです。

ファンサイトでご主人のトニー・コックスが亡くなる直前にこのアルバムをかけたという談話が載っています。病名は明らかにされてませんが闘病は5年にわたったとか。改めてご冥福をお祈りしますし、80's以降作品を出せなかった不幸を思わずにはいられません。
http://www.lesleyduncan.net/

アラン・パーソンズ・プロジェクトでも歌った曲があったそうです。

Edsel:EDCD696-UK