吼えろイアン、ギラつけギラン

Japanese Album

Japanese Album

■The Japanese Album:Gillan
「吼えろイアン!ギラつけギラン!」というのはイアン・ギラン・バンドのセカンド「Clear Air Turbulance」('77)が出た時の東芝EMIがつけたキャッチ・コピーですが、そのアルバムは邦題が「鋼鉄(はがね)のロック魂」というものでした。ハードロックの代表格パープルの黄金期をささえたvoのソロとして、どうやって売ろうかと苦渋するレコード会社宣伝部の悩みがわかりそうです。実際IGBはハードロックというよりはフュージョンに近い音楽で、そのバックとシャウト型のイアン・ギランのスタイルが合致しているとはあまり考えにくいのです。実際このバンド〜レイ・フェンウィック(g)、ジョン・ガスタフソン(b)、マーク・ナウシーフ(ds)、コリン・タウンズ(kb)は2枚のLPをIslandに残して解散しています。但しパープル時代のナンバーをレパートリーとした78年の来日公演は盛況で、東芝EMIは新たに設立したEast Worldという自社レーベルから武道館のライヴを2枚に分けてリリースしています。バンドが解散したイアン・ギランは79年にシンプルに「Gillan」というタイトルのついたソロを自分のスタジオでレコーディング。本作と次の「Mr.Universe」は、当初は日本のみのリリースとなった為(というか当時はそういう状況でした)、後年CD化された際に「The Japanese Album」というタイトルになりました。
さてその「Gillan」は、タウンズ(kb)、ジーブラのスティーヴ・バード(g)とジョン・マッコイ(b〜彼はミッキー・ムーディーがいたトラムラインのvoでもありました)、タウンズと旧知のリーアム・ノッキー(ds)というラインナップでした。当時のライナーノーツには、イケイケ的な事しか書かれてませんでしたが、あくまでもレコーディングに起用されたメンバーのようでその後のハードロックシーンに復帰希望のギランの音楽とは隔たりがあります。実際レコーディング後ノッキーはジェリー・ラファティー・バンドへ参加、変わってピート・バーナクルに交代。結局バーナクルはエピソード・シックス時代の盟友ミック・アンダーウッド(元ストラップス)にバードはバーニー・トーメ(g)へと交代しています。
さてNWOHMのブーム以前、こういったハードロックはOld Waveと揶揄されプレスからも冷遇されており、その関係で「Gillan」も英国発売は見送られたという経緯があります。テンポを速め、gやkbのソロを明確にしたそのサウンドはパープルの焼き直しと当時言われましたが、今聞くと明らかに別物で、パンク以前の英ハードロックの持っていた暗さ、重さは一切ありません。この「The Japanese Album」は「Gillan」のストレートなCD化ではなく、一部曲が差し替えられていてそれが成功しているかどうかはまた別の問題です。ギランは気持ちよさそうにシャウトしていますが…やはり"Secret Of The Dance"につきますね。もちろん笑い半分ですが。
Cleoptra:CLP0314-US