#12農協世界制覇す

ヴォランティアーズ~アップグレイド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

ヴォランティアーズ~アップグレイド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

■Volunteers:Jefferson Airplane
ジェファーソン・エアプレインの最高傑作はやはり69年の「Volunteers」でしょう。これはヴェトナムの泥沼と反戦に揺れるあの時代抜きには語れないでしょうし、平和ボケした日本人である僕はイマイチ切実に感じられない部分もあるのですが。この時期は、6人のメンバーにゲストとしてニッキー・ホプキンス(p)、スティーヴン・スティルス(org,vo)、ジェリー・ガルシア(steel)、エース・オブ・カップス(vo)らをゲストに迎え録音されています。ウッドストックとオルタモントという光と影のような2つのフェスを経験した69年のエアプレインはなんと力強いのでしょう。
熱心なエアプレイナーの間では3枚目の「After Bathing At Baxter's」が一番と言う評価らしいですけど、僕はそのアルバムにどうしてもなじめなませんでした。ヨーマのgも何故かしっくり来なかったのですが、このアルバムではその歪み具合もカチッとはまるようにしっくり来るのです。これはもう相性としか言いようがありません。このLPをはじめて聞いたのは高校時代の友人K太郎君ち(正確には狛江の非常にわかりにくい場所にあるのアパート)でしたが、その夜のこと(当然カセットに録音した)の事は不思議によく覚えています。
ウッドストック」のサントラに入っていたタイトル曲と最初は区別がつかなかった"We Can Be Together"(歌詞の問題でRCA側と揉めてリリースが遅くなったと言います)から始まって、ヨーマのサイケデリックなgが大きくフィーチャーされた"Good Shepard"、一足早くCS&Nのアルバムで紹介された"Wooden Ships"(カントナーとCSとの共作で、複数のvoがフリーフォームに出入りするエアプレインのスタイルは手垢が付いたフレーズですが「シスコの自由な空気を象徴している」と今でも思います)あたりは昔からのお気に入りでしたが、最近はヘヴィな"Eskimo Blue Day"(エコロジーのことを歌ってるのかと思っていた)も飛ばさずに聞くことが多いです。


ヨーマのラグタイミーなgのイントロでスタートする"Turn Down Your Life"は、マーティのvo曲ですが、エース・オブ・カップスのコーラスも交え、複数のvoが出たり入ったりする様はなかなか心地いいです。organはスティヴン・スティルスでいい味を出しています。
ここでコーラスを担当するエース・オブ・カップスは、シスコ出身の5人組ガール・グループで長い間謎の存在でしたが、英Big BeatがCD化して一部知られるようになりました。
IT'S BAD FOR

IT'S BAD FOR

「Volunteers」の後カントナーは、JAの活動とは別に気の合った仲間を交えたソロ「Blows Against The Empire」をリリースします。ここで初めてジェファーソン・スターシップという名前がクレジットされており、グレイス、クロスビー&ナッシュ、デッドのミッキー・ハート、ビル・クリューツマン、ガルシア、QMSのデイヴィッド・フライバーグらがメンバーとして参加しています。ただJAの活動はこの辺りから徐々に下降線をたどり、RCA傘下に設立した自身のレーベル、Gruntからの初リリースとなった「Bark」('71)ではサンタナ(g)も参加。すでに活動を開始していたヨーマ&ジャックのホット・トゥナもらしい味を出しています。72年の「Long John Silver」では、dsがジョーイ・コヴィントンに交代。パパ・ジョン・クリーチ(vn)の参加も彩りを添えていますが、バンドは73年に解散。