#13星船其の一

Baron Von Tollbooth & Chrome Nun

Baron Von Tollbooth & Chrome Nun

■Baron Von Tolbooth And Chrome Nun:Paul Kantner,Grace Slick & David Freiberg
分裂状態だったジェファーソン・エアプレインがジェファーソン・スターシップとして再生する前年の73年、重要なアルバムがひっそりとリリースされています。ポール・カントナー、グレイス・スリックは音楽上だけでなくプライヴェートでもパートナーだった時期があり、娘チャイナの赤ちゃん時代のポートレイトをジャケットにした「Sunfighter」('71)はカントナー&スリックのクレジットがありますが、72年のツアーからJAに加わった元QMSのデイヴィッド・フライバーグを加えた3名の連名でクレジットされた「Baron Von Tolbooth And Chrome Nun」('73)はそのまんまJSといってもいい内容です。
理科室の人体模型の様なジャケットの為大きく損をしていますけど、内容は豊潤な香りがあって素晴らしい。バックにはLAゲッタウェイのジョニー・バーベイタ(ds/元CSN&Y)とクリス・エスリッジ(b/元FBB)、デッドのジェリー・ガルシア(steel)とミッキー・ハート(ds)、ホット・ツゥナのヨーマ・コウコネン(g)とジャック・キャサディ(b)、パパ・ジョン・クリーチ(vn)、ポインター・シスターズ(vo)、Gruntからソロを出しているジャック・トレイラー(vo)とそのバンドスティール・ホィールのクレイグ・チャキーソ(g)が参加しています。"Your Mind Has Left Your Body","Harp Tree Lament"がいいです。

74年に入ると、カントナー、スリック、フライバーグ、バーベイタ、チャキーソ、クリーチにコパーヘッドのピート・シアーズ(b)を加えた布陣でJSはスタート。「Dragon Fly」('74)からは、躍動的な"Ride The Tiger"がヒット。かつての看板vo、マーティ・バリンがゲストでこれは次の「Red Octopus」での復帰の布石となっていました。そして大ヒット"Miracles"の入った「Red Octopus」はメロウ過ぎるという評もありましたが、次のやや重い「Spitfire」も含め安定したバンドの実力を発揮したものです。カントナー、スリック、バリンの交差するコーラスは、しばしば自由なムードを醸し出し、効果的です。

Dragonfly

Dragonfly

Red Octopus

Red Octopus

Spitfire

Spitfire

そして僕の大好きな三頭時代のJSの終わりを告げる「Earth」が78年リリースされます。