#16安楽死

■Live/Dead:Grateful Dead
第6章は「サイケデリック・ムーブメント」と題してグレイトフル・デッドが取り上げられていますが、83年当時と今と比べると評価の具合がかなり違います。当時のデッドはやはりマニア向けだったようです。
さて64年に結成されたデッドは、当初ウォーロックスと名乗っていましたが67年にWarner Brosからデビューしています。デビュー作「Grateful Dead」の当時の邦題は「サイケデリック〜これがシスコサウンド」だったようです。

この"The Golden Road"なんかはサイケな味わいがキャッチーなメロディーに乗っかってなかなか素敵なんですが、こういう曲は実は少なくもっとドローンとした印象が初期のデッドにはあります。ちなみにこの時期のメンバーは、ジェリー・ガルシア(g,vo)、ボブ・ウィア(g,vo)、ミッキー・ハート(ds)、ビル・クリューツマン(ds)、フィル・レッシュ(b)、ピグペン(kb,vo)の6人。
初期の代表作となると、長尺のライヴバンドという印象が認識された「Livr/Dead」('70)でしょう。

ジャム・バンドなんて言葉がなかった当時から、ステージにおけるインプロヴィゼーションは結果的に長い曲を生み、10分を超えるというのもざらでした。いわゆるハードロックやプログレの長尺と比べると、デッドの場合はあまり長さを感じさせないというか、ある意味BGMに流れてしまうところもあるのですが、心地よさに身をゆだねてしまいやすいです。そんな事に気付いたのは実は90'sに入ってCDで色々聞き始めてからなんですが… 
ガルシアのゆったりとした作風、ロックンロール色が濃いウィア、そしてピグ・ペンが歌う白いブルーズ(ジョン・メイオールあたりに通じるところがあります)と三者三様の面白さがあります。

70年に出た「Workingman's Dead」や「American Beauty」でのカントリー・ロックへのアプローチ、CSN&Yっぽいハーモニーも話題となりましたが、この辺は80'sに何度かトライしたデッドへの試みが結局実を結ばなかった事を思い出してなんとなく苦いです。そんな中71〜72年にはライヴバンドとして最初のピークを迎えるのです。