baby#2

Rich Man's Woman & Two Days Away

Rich Man's Woman & Two Days Away

■Jigsaw Baby / Elkie Brooks
74年にヴィネガー・ジョーが解散するとバンドの顔だった、エルクはさっそくソロ活動に入ります。ヴィネガー・ジョー時代はサザン・ソウルに根差したブリティッシュ・ロックといった感じでしたが、渡米しLAのレコード・プラントでの録音。更にスティーヴ・バー(g)、ブルース・フォスター(kb)、デイヴィッド・ケンパー(ds)、デニス・コヴァリク(b)といったセッション・マンとのレコーディングですもの、なかなか手が出ませんでした。実際LP時代には手には取るもののレジに持ってゆく事もなかったです。ゴージャスでちょっとイメージ違いのジャケもあったのですけど。prodはケニー・カーナー&リッチー・ワイズで残念ながらどんな人たちなのか不明です。
さてクリスタルズの"He's A Rebel"(作者はジーン・ピットニー)、レオ・セイヤーの"Tomorrow"、ストーリーズの"Take Cover"といったカヴァー曲以外はすべてオリジナルです。洗練されたヴィネガー・ジョー的な音で、泥くさいブリティッシュ・ロックっぽさはほとんどありません。それでもエルクのはじけるvoは十分魅力的で、チャート的には失敗でしたが、レゲエ風の"Jigsaw Baby"、たたみかけるような"Where Do We Go From Here"などは名曲です。

さて77年の2枚目「Two Days Away」ではリーバー&ストーラーがprod(この伝説的なソングライター・チームはスティーラーズ・ホイールやプロコル・ハルムなども手掛けています)しており、"Pearl's Singer"(#8)、"Sunshine After The Rain"(#10)といったヒット曲も生まれました。
ヴィネガー・ジョー時代の仲間スティーヴ・ヨーク(b)やパシフィック・イアドラムのアイザック・ギロリー(g)、ジーン・ルーセル(kb)らに交じってピート・ゲイジ(g)の名前も見られます。

78年の「Shooting Star」はデイヴィッド・カーシェンバウムがprod。フランプトンやフェイシズ、スティーヴィー・ワンダーのカヴァーも含みます。ニール・ヤングの"Only Love Can Break Your Heart"がヒット。

79年の4th「Live And Learn」はディスコっぽい曲も入った作品で、時流に乗ったつもりが外してしまったようです。すでにカヴァー中心でアラン・トゥーサンやミッキー・ジャップの曲もあります。再びリーバー&ストーラーがprod。
81年の「Pearls」は全曲カヴァーで、カーペンターズで知られる"Superstar"からシカゴ、ビル・ウィザース、クリス・レアまで。過去のヒット曲のリメイクも含んでいます。prodはガス・ダッジョンで#2まで上がった大ヒットLPとなりました。但しAORのジャンルに入ります。
82年には続編「Pearls 2」がリリース。ピンク・フロイドロッド・スチュワート、ムーディー・ブルーズ、フリートウッド・マックの有名曲のカヴァーあり。84年の5th「Minutes」では、ダンカン・マッケイ(kb〜元コックニー・レベル)、ザル・クレミンソン(g〜元SAHB)らが参加。
このあと2枚A&Mから出して、以後はLegend,Telsterなどマイナー・レーベルを転々とします。権利関係があいまいなせいか無数の怪しげなレーベルからベスト盤が出ていて安いムードを醸し出します。