blues#3

Mick Taylor

Mick Taylor

■Slow Blues / Mick Taylor
ストーンズ脱退後のミック・テイラーの仕事と言えば、地味なセッションが主で華やかなストーンズの世界からはかけ離れたものが多かったのです。79年にCBSから出た初ソロ「Mick Taylor」も時代性とかけ離れたオーソドックスなものです。それでもセッションから生まれた人脈でゴングのピエール・ムーレン(ds)、リトル・フィートのローウェル・ジョージ(g)を始め、リンダ・ルイス等セッション多数のジーン・ルーセル(kb)、ココモのアラン・スペナー(b)、クマ原田(b)、マイク・ドリスコール(ds)らが参加しています。物の本にはAORロックと紹介されてるものもありますが、確かに歌もの(テイラーがvoをとるのは公式には初めてではないかな)は軽い、メロディアスなナンバーで、当時の音楽シーンとは離れた独自の路線を歩んでいます。それでもvo以上に歌うスライドを交えつつ聞かせます。決して悪くない。
もう一つの路線のインストものもストレートなブルーズからハミングバードを思わせるフュージョン風のものまで独特の世界を築いています。とりわけローウェル(slide)、ルーセル、スペナー、リチャード・ベイリー(ds)による"Giddy Up"、ジェフ・ベックの「Blow By Blow」へのアンサーの様な"Spanish"、"A Minor"(この2曲はメドレーのクレジットですが溝はあります)は、テイラーの音楽と79年という時代の接点でしょう。全く時代遅れの様なズバリのタイトルの"Slow Blues"は、原田、ムーレン、ルーセルによるセッションで、伝統的なスタイルではあるのですが妙な新しさが不思議です。