「Ram」は昔から多くに人に愛されてるアルバムですが、ジョン・レノンとの暴言合戦のこともあって、あんまりいいイメージはなかったです(音楽よりも生き方を評価されてた当時のジョン・レノンにもあまり興味がなかったんで、どっちもどっちだなあ、と思ってました)リンダとの共作で、デニー・シーウェル(ds)、デイヴィッド・スピノザ(g)、ヒュー・マクラッケン(g)が参加してます。A面のハイライトはシングルカットされた”Uncle Albert〜Admiral Halsey”です。オーケストラに種々のSEと凝った作りの曲です。電話の呼び出し音を口でやってますが、ずっとあれは鳥の鳴き声だと思ってました(^^)

「Ram」の後半はやはりドラマティックな”Back Seat Of My Car”でしょうか。「Abbey Road」的な展開もありますし(ジョー・ウォルシュがたまにやるメランコリックなバラードのルーツはこの辺にあったのかと改めて確認)、リンダの決してうまいというわけではないけど、味のあるコーラス(”Monkberry Moon Delight”も)もいいです。日欧でシングルになった”Eat At Home”は、"出ておいでお嬢さん"という邦題がついてました。

「Ram」のリリースの後ライヴを行う為に組んだのがウィングスです。旧知のデニー・シーウェル(ds)にリンダ(kb,vo)、元ムーディー・ブルーズのデニー・レイン(g,vo)の4人組のウィングスは、リハーサルの後3日間で録音を終えた「Wild Life」を71年の暮れに出します。まあなんともラフな、ざっくりとした出来です。「McCartney」のライヴ版のような内容。その中ではやはり"Yesterday"と同じような感じで始まる"Tomorrow"が、出色の出来です。恥ずかしながら、デイヴィッド・キャシディのカヴァーでこの曲を知って、アイドル何になかなかやるなあと思ったら、ポールの曲だったというオチがつきました。

Wild Life」の続きですが、前作あたりから続くジョン・レノンとの暴言合戦(それも直接じゃなく、歌の歌詞で隠喩としてやりあうあたり二人の冷え切った関係を思わせます)の続きで、”How Do You Sleep?”への返答と言われてる"Dear Friend"は、タイトルからしてちょっとシラケます。”Some People Never Know”は、ルーズなスライドを隠し味に使った地味ながらいい曲です。あふれんばかりのメロディー・メーカーとしての才能とは裏腹な勢いで作ってしまったという評価の1枚ですが、ジャケットのリラックスした感じがいいんですよ。