★★★★LEON RUSSELL ('70)

Leon Russell

Leon Russell

スワンプ・ロックという言葉は、米南部志向の主に白人のロックを指します。70'sの初めにこういったスワンプ・ロックはトレンドでした。そのきっかけはデラニー&ボニーの活躍でしょう。白人で初めてStaxレーベルと契約したこの夫婦デュオがElektraに移籍した「Accept No Substitute」('69)では、フレンズとしてすべてを取り仕切っていたのがオクラホマ出身のリオン・ラッセルです。

60'sにLAでスタジオ・ミュージシャンとしてキャリアを積んだラッセルは、南部出身の仲間を次々と呼び寄せ、タルサ・トップスと呼ばれる強力なユニットを結成。これがそのままデラニー&ボニーのバックを務めることになりました。ここにエリック・クラプトンデイヴ・メイスンの英国勢も加わり、英米の枠を超えたスワンプ・ロックの一大ブームとなるのです。さて70年2月にラッセルはShelterというレーベルを興し、「Leon Russell」をリリース。カーペンターズがとりあげた(この辺はLAのポップ音楽シーンに裏方として食い込んでいたラッセルらしい)”A Song For You”から始まる12曲は、どれも南部らしい響きに満ちています。独特のリズムのピアノにゴスペル風コーラスが絡む黄金のパターンがまぶしいです。
バックには、ジョージ・ハリスン(g)、リンゴ・スター(ds)、ビル・ワイマン(b)、チャーリー・ワッツ(ds)といったビートルズストーンズのメンバーにクラプトン(g)、グリース・バンドのアラン・スペナー(b)、クリス・ステイントン(kb)、ジョー・コッカー(vo)、スティーヴ・ウィンウッド(kb)ら英国勢、デラニー&ボニー(vo)、ボビー・ウィットロック(kb)、ジム・ゴードン(ds)らが参加。ほとんどがロンドン録音で、グリン・ジョンズがエンジニアとして参加しているあたりもポイントです。

ラッセルを中心としたコネクションは、いつしかLA・スワンプと呼ばれ、72年ぐらいまで米ロックを語るキーワードでした。南部出身者が音楽ビジネス都市(として成熟の過程を遂げる)LAで奏でたこういう音も、まぎれもなくLAサウンドの一つだったはずです。

原盤 Shelter:SHE1001 70年3月リリース。