★★★★SWEET BABY JAMES−James Taylor ('70)

スウィート・ベイビー・ジェイムス

スウィート・ベイビー・ジェイムス

70年はまた、シンガー・ソング・ライター(以下ssw)の時代の始まりでした。 変革が叫ばれ、政治的なメッセージが熱かった60'sの夢と喧騒が足早に去っていった無力感を、きわめて個人的な表現で代弁し、心の痛みや空虚さをあらわにした個人的なメッセージで伝える、といったsswたちの「歌」に多くの人々が共感するようになったのが70年頃です。その盛り上がりはキャロル・キングの「Tapestry」の大ベストセラーによって大きな潮流となるのですが、まずはこの人の登場です。ジェームズ・テイラー

東部のボストン出身で60'sにはNYのグリニッジ・ヴィレッジ周辺で歌っていたフォークシンガーの一人でした。フライング・マシーンを経て、英Appleと契約し注目されましたが、会社のゴタゴタに巻き込まれ、prodのピーター・アッシャー(元ピーター&ゴードン)と共にクビに。療養生活を経てカリフォルニアに渡ってWarner Brosと契約しリリースしたのが2枚目になる「Sweet Baby James」('70)です。全編アコースティック・ギターの弾き語りながら、レッド・ローズ(steel)、ダニー・クーチ(g)、キャロル・キング(p)らの控えめながら的確なサポートが魅力です。

この鼻づまりな声がOKかどうかでこの人の場合好みが分かれてしまうのですけど、日本でも細野晴臣小坂忠にスタイルとして影響を与えてます。”Fire And Rain”、”Sweet Baby James”、"Country Road"の有名曲だけでなく、フォスターの"Oh Susannah"をさりげなくカヴァーし、独特のスウィング感をだしてるのは見事です。

右上に「”Fire And Rain”と”Country Road”収録」と付いてるのはセカンド・プレス以降で、ファースト・プレス(画像)にはありません。

原盤 Warner Brothers:WS1843 70年2月リリース。