ブリンズレイ・シュワーツ(Brinsley Schwarz)

ディスパイト・イット・オール(紙ジャケット仕様)

ディスパイト・イット・オール(紙ジャケット仕様)

ブリンズレー・シュワーツはパブ・ロックのクラシックとして極めて高い評価があるけど、実はそれほど大したもんじゃないとも思う。ブリンズレーとしてデビューする以前はキッピントン・ロッジとして活動しながら、レコーディングにはスタジオ・ミュージシャンが使われ、シュワーツのvoだけがダビングされたという(その辺の音源はレアテイク集で紹介済み)。米フィルモアでのデビュー・ライヴが企画され大いにコケたという時期のデビュー作は、フォークロック〜サイケ風味。この辺はモビー・グレイプに似ている。「Despite It All」はセカンドでカントリー・ロック的なナンバーも多くなってくる。3枚目の「Silver Pistol」('71)で完全にザ・バンド的な味わいに達するが音はショボイ。ここからイアン・ゴム(vo)が参加し、ゴム、シュワーツ、ニック・ロウ(b,vo)、ビル・ランキン(ds)、ボブ・アンドリューズ(kb)の5人体制に。元々米志向でしたが、"Ever Since You're Gone"はソウル、"I Like It Like That"はニュー・オーリンズ、"Down In Mexico"はマリアッチ、"I Worry"はオールディーズと同時代の英バンドとは向いている方向が違った。74年の「New Favorites Of」の後解散。シュワーツ、アンドリューズはグラハム・パーカーのルーモアへ。ロウはStiff、Rader、F-Beatと契約してパンク〜ニュー・ウェイヴの時代を軽やかに泳ぎ切った。フランキー・ミラーやアーニー・グラハムなどハウス・バンドとしてのセッションもあり。