■■■■用心棒('61日本)

監督:黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達也、東野英二郎、加東大介山田五十鈴

小林信彦が黒澤映画について語った「黒澤明という時代」を読むと、僕が娯楽時代劇の大傑作だと思っていた「用心棒」が殺気(その殺気は前作「悪い奴ほどよく眠る」の興行的失敗による黒澤プロの赤字によるものではないか、と書かれている)ばしった問題作となってて意外な印象を受けました。それまでの時代劇の殺陣では骨や肉を切るような「音」はなく、リアルに徹した殺陣シーンには痛快さよりもショックを受けたととのこと。確かに開巻まもない宿場町のシーンで野良犬が手首を加えてくるシーンにはショックを受けますね。封切り前から「用心棒」の出来は話題となっていて、日活は同じ週に似たようなタイトルの「用心棒稼業」という無国籍アクションを封切ったといいます。
さて仲代のマフラーとピストルが時代にそぐわないとか、言う点はないけど、この卯之介のキャラは秀逸。人魂見ると胸がスカーッとする」という名せりふを残した亥之吉(加東)もいい。藤原釜足志村喬山田五十鈴といった黒澤映画の常連がすべて悪役というのも印象的です。司葉子はほとんど出番ないけど、印象に残ります。大げさな大作ばかり(と昔は思ってた)でピンとこないなあと黒澤作品を避けてた僕を導いてくれた1本でした。

http://www.youtube.com/watch?v=RPhwNik7kAU%3Amovie