金字塔

僕が中学に入って洋楽に興味を持った75年頃、日本盤LPは2300〜2500円でした(1枚もの)。そんな中重厚な箱に入り「ロック界に不滅の金字塔・ジョージ・ハリソン」とだけ帯に書かれたジョージの「All Things Must Pass」('70)は、5000円近かったと思います。寓話的なジャケットも凄く魅力的でしたが、手が出るわけはありません。よって初めて通して聞いたのは大学時代のレンタルでした。そしてリリース当時「ロック界に〜」というのが「邦題」だと思われていた事です。そんな邦題がまあ普通だったあの時代ですが、さすがに75年になると「オール・シングス・マスト・パス」もしくは「箱」と呼ばれてましたが、以前緑のApple帯の「金字塔」と書かれたものが流通しておりました。
その辺の事はこちらのブログにも触れられております。
http://blogs.yahoo.co.jp/hishid_2/7807231.html

総じてジョージの代表作という意見が圧倒的な「ATMP」です。デレク&ザ・ドミノスやビリー・プレストンゲイリー・ブルッカー、デイヴ・メイスン、ゲイリー・ライトらが参加。当時の英国ミュージシャンによる憧憬型米国音楽の再演では、レオン・ラッセル一派によるジョー・コッカーの一大レヴューがありましたが、あちらは米国勢の演奏に英国人歌唱が乗った形で少し違います。但しラッセル一派の中核を形成したデラニー&ボニー夫妻のフレンズがこぞってそっちへ引き抜かれた事もあって、中立的な立場をとる為に夫妻をあえて「ATMP」に参加させなかったという意見もあるようですので、夫妻がもし加わっていればもっと南部的なフィールが増したのかもという妄想も膨らみます。
夜明けというか壮大な物語の序章をイメージさせる"I'd Have You Anytime"をオープニングに持ってきた構成はうまいですね。