■の・ようなもの('81日本)


森田芳光監督の長編デビュー作。81年の時点でツボをずらしたオフビートな笑いを展開していて、そこはかとない笑いが心地いいです。下町の売れない若手落語家(伊藤克信)とソープ嬢秋吉久美子〜ここではトルコ嬢という旧表記)そして落研の女子高生をめぐる群像劇です。浜田金吾が書いた主題歌とエンディング曲はメロウなAOR曲で尾藤イサオが歌っていて、精一杯カッコつけるけど実はカッコ悪い、あの時代を象徴しています。クラフトワーク好きなテクノな落語を聞かせる(という設定の)同期の弟子もおもしろい。ハンダース(銀座NOWの話になると地方出身者はまったく付いてゆけませんね)のオリジナルメンバーだった小林まさひろラビット関根と名乗っていた頃の関根勤小堺一機室井滋なども出演しています。深夜の堀切から浅草までの道中は、かつて浅草東宝でオールナイトを見て西大島のアパートまで歩いて帰った自分の姿を重ねてしまいます。浅草も変わってしまったんだろうなあ。シントト、シントト…