■めまい('58米)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
何度も出てるかと思ったらそうでもなかったんですね。ボワロー&ナルスジャックの「死者の中から」(B&Nはヒッチコックに映画化されることを想定してこの話を書いた、とトリュフォーとの「映画術」にあります)の映画化で、日本でもファンの多い作品。サン・フランシスコ・ロケが素晴らしいゴシックなムードのサスペンス、でも、よく見ればかなり倒錯的でエロな作品です。後半ノーブラでセーターを着せられたキム・ノヴァクの巨○ぶりも見事だけど(^^)、死んでしまった女と同じ髪型と色にさせ、同じスーツをあつらえさせる、とり憑かれたような元刑事のジェームズ・スチュワート(その時点ではからくりに気づいていない)の執拗な想いもまた、この監督好み。そしてデ・パルマが好んで引用した一本でもあります。バーナード・ハーマンの音楽、ソウル・バスのタイトル・デザインも効果的でした。原作ではタネあかしはエンディングですが、映画では1部と2部の間に挿入されます。その分サプライズはなくなったのですが、サスペンスは盛り上がる、とはヒッチ御大の意見ですが、僕は原作通りの方が良かったと思います。80'sのヒッチコックのリバイバル上映で見た時はあまり印象にのこらなかったのですが、今では大好きな作品。