【名曲リレー67】world#3

■Crazy World / Climax Blues Band

初期にはゴリゴリのシカゴスタイルのブルーズロックを聞かせたクライマックス・ブルーズ・バンド(当時はクライマックス・シカゴと名乗っていました)も、フリートウッド・マックと同じように早い時期にブルーズへの強いこだわりを捨て、徐々にポップなメロディーとファンキーなarrで共に脱ブルーズを図ってきました。この2バンドに共通するのは、180度の転換ではなくゆったりと変化してきた事で、よってアルバム評には「初期のブルーズ・ロックから離れアメリカナイズされた〜」という形容詞が並ぶ事となります。もっとも熱心なファン以外はその変化はわかりにくいです。
73年の「Rich Man」(Harvest)で、すでにプログレ風、ボ・ディドリー風といろんなスタイルに挑戦していましたが、この傾向はレーベルをBTMに移しての「Stamp Album」あたりから顕著になります。76年の「Gold Plated」から"Couldn't Get It Right"が#3(米)とヒットしたのも幸い、マーケットをアメリカにしてラジオでかかりやすいメロディアスなナンバーが量産されました。それでもブルーズへのこだわりは残っており、セールス的に不発だった79年の「Real To Reel」(Sire)では、ピート・ヘイコックの泥臭いslideがたっぷり聞けます。後にクラプトンが得意とするブルージーな歌もの、といった感じで少々早すぎた感もあります。"Crazy World"は、メロウなAOR風ブルーズ・ロックで、ヘイコックのgが歌と歌の間を埋めます。voはデレク・ホルト。

https://www.youtube.com/watch?v=YnmeBTq58BM