【フリートウッド・マック関連の70曲】16・Angel('74)

ボブ・ウエストンとジェニー(ミック夫人)の不倫そしてウエストンの解雇に発する74年初頭のツアーキャンセルは、バンドに経済面で大きなマイナスになりました。マネージャーのクリフォード・デイヴィスは、現メンバーでツアーできないならば...と秘策を練ります。全く別のメンバーでフリートウッド・マックを名乗ればいい。現代では考えられないアイディアですが、古くはゾンビーズ、また80'sのロッド・エヴァンスが率いた再結成ディープ・パープルなど、前例はあります。当初はミック・フリートウッドは参加という説もあったようですが、結局未参加。集められたのはエルマー・ガントリー(g,vo〜元ヴェルヴェット・オペラ)、カービー(g〜元カーヴド・エア)ら、同じマネージメントの面々。これが世に言うFake Fleetwood Mac事件です。結局こんなライヴがバレないはずもなく、非難ゴウゴウだったそうですが、後にバンドとマネージメントが裁判で争う事件に発展しました。ウエストンの解雇で4人に戻ったマックはイギリスを完全に離れカリフォルニアで新作を録音。9月に「Heroes Are Hard To Find」をリリースします。全米最高34位とそれまでで最高のセールスを記録。トラブル続きだったバンド運のどん底から一気に脱する様な力作です。根底にはブルーズがあり、ダークな味わいがあるポップロックというのがウエルチの音楽(脱退後はこれがハードロック方面へ向かいパリスとなります)でしょう。"Angel"は埋もれるには惜しい出来です。このTVライヴはDKRCですが、金ラメ衣装のkb奏者がサポートしています。この人は昔はボブ・ハント(ウエルチのヘッド・ウエスト時代の同僚)とされてましたがハントは黒人なんで誤り、今では「Heroes〜」のアシスタント・エンジニアだったダグ・グレイヴスと言う事で落ち着いています。ウエルチのメガネがすぐにずり落ちてくるのもおかしい。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=306&v=ChZ4cBM5TlY