walking#2

10008■Walking The Dog / Rick Derringer

ルーファス・トーマスの63年の大ヒット"Walking The Dog"は、オリジナルを知らなくとも60'sから数多くのカヴァーが生まれてます。

その多くはヒット曲ではなくビート・バンドが手軽にカヴァーするステージ用のレパートリーから始まっています。ストーンズが64年のデビューLPで取り上げたことも大きかったのでしょう。日本のダイナマイツ("トンネル天国"の)やストリート・スライダーズ、そいてエアロスミスがファーストでやったのはこの辺のオマージュでしょうか。ガレージ・バンドのソニックスやフィールグッズ、更にはロジャー・ダルトリージョン・ケイルのヴァージョンもあります。
マッコイズからジョニー・ウィンター・アンド、そしてエドガー・ウィンター・グループなどのウィンター・ファミリーにかかわるリック・デリンジャーも75年のセカンドソロ「Spring Fever」(Blue Sky)でカヴァー。ここではマッコイズの"Hang On Sloopy"もセルフ・リメイクしていますが、前作「All American Boy」('74)をポップにしたような感じの、70's半ばのの東海岸のポップなハードロックの典型です。
バックにはエドガー・ウィンター(kb)、ユートピアのジョン・シーグラー(b)、ピーター・フランプトンとの仕事で知られるジョン・シオモス(ds)、キャプテン・ビヨンドのボビー・カルドウェル(ds)、ジョニー・ウィンター(g)、NY・ドールズのデイヴィッド・ヨハンセン(harp)らが参加しています。シーグラー、シオモス、デリンジャーというラインは実はトッド・ラングレン絡みのセッションで多い組み合わせで、ユートピアのムーギー・クリングマンのソロでもありました。話を"Walking The Dog"に戻しますと、これは結構エロな歌で、「犬を歩かせる」という行為がヘロインをうつ事を現すようで、これをそのままに訳してるこのCD(東郷かおる子女史のライナーもミスばかりだし)の対訳はちょっとちがうでしょ。エアロスミスの方になると、ちょっとやり過ぎで、「彼女のお庭はとてもきれいで、銀のベルに小石がずらり、おまけに女の子もずらり」と何やらインビです(山本安見訳)。