103■■ウィークエンド・ラブ('73英)

監督:メルヴィン・フランク
主演:ジョージ・シーガル、グレンダ・ジャクソン、ヒデルガルド・ニール
村上春樹川本三郎によるシネマガイド本「映画をめぐる冒険」は、レンタルヴィデオ黎明期(僕にとっての)にはお世話になった。ほぼ8割はカヴァーしたが、未見の作品もちらほらある。日本版ソフトが出てなかった(ヴィデオ時代から)この映画もそうだったが、WOWOWが1年前(ずっとほってあった)に突如OAしたのは、グレンダ・ジャクソンが2度目のオスカー(主演女優賞)をもらってるから。不倫のドラマは今では掃いて捨てるほどあるが、この当時このテーマを、肯定的にしかも適度なユーモアをもって描き、しかもコメディとして成り立っているのはすごい。そもそもロマンティック・コメディ(この言葉も手垢にまみれてるが)とは、こうした映画を指すのだろう。フランク監督は50年代から活躍する大ヴェテランで、ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」やら「すてきな気持ち」など、いささか古いタイプの作品を撮ってる人だが、70’sに撮った数少ない作品のひとつである本作は、まさにヴェテランならではの味。新しくはないが、エヴァーグリーンな輝きに満ちている。それにしてもグレンダ・ジャクソンは素晴らしい。
Embassy、1h46