Minako(吉田美奈子)

MINAKO
日本のローラ・ニーロとは、初期の吉田美奈子の紹介の時には必ずでるフレーズ。トリオからデビューしたはずなのに、この75年のRCA移籍盤「MINAKO」はファースト・アルバムと紹介された。過去をなかったことにしたかったのか?トリオ時代とRCA時代はかなり趣が違う。間にティン・パン・アレイのセッション・シンガーとしての活動があったけど。
ハデハデなジャケットは昔から苦手だったし、スローな曲が多いことも、あまり聞かなかった理由。今回買ってちゃんと聞くのは、20年ぶりぐらいか。リアルタイムの吉田美奈子といえば、マクセルのカセットのCMだった気もするが、ファンク路線のアルファ時代か?
ただRCA時代のカタログは当時も生きていたし、レンタルレコード黎明期だったので、どの店には大体あったのだ。
村井邦彦のprodでバックには、松任谷抜きのティン・パン、佐藤博(kb)、松木恒秀(g)、高水健司(b)、村上ポンタ(ds)、山下達郎(g)らが参加。特に数曲で曲を提供した佐藤博ハックルバック)の存在感がすごい。いきなりストリングス入りの”移りゆくすべてに"とは、なかなか大胆不敵。佐藤の曲では”レインボー・シー・ライン”が素晴らしい(佐藤自身もセルフリメイク)。そんな中ユーミンの”チャイニーズ・スープ”、大滝詠一の”わたし”は少し浮いているが、後者はなかなか素敵なオールディーズ・マインドを持っている。ラストの”ろっかばいまいべいびい”は細野の「Hosono House」に入ってた曲をボッサなarrで聞かせる名演。完成度は「Flapper」に負けるけど、これはこれでいい。久しぶりに聞いてよかった。