エイリアス・ブーナ(テレンス・ボイラン)

エイリアス・ブーナ
■Alias Boona / Terence Boylan
テレンス・ボイランといえば、77年にアサイラムから登場した都会派のssw。当時はAORという言葉がまだなかったけど、その世界に近いものがあった(けどまだ77年。朝の光と朝露のみずみずしさは感じる)。PPLやボストン、リンダ・ロンシュタットのprodで知られるジョン・ボイランの弟として、またジャクソン・ブラウン的な風貌が、某皿さんを初めとする愛好家の小さな胸をときめかせたらしい。僕はリアルタイムでは、次の「Suzy」を買った覚え。
で、テレンス・ボイランがデビュー前のスティーリー・ダンのフェイゲン=ベッカーとバンドを組んでいたということを知ったのはずいぶん後になってから。そのバンド、ブーナ・ボイランは、テレンスのデビュー作である本作(69年にVerve Forecastからのリリース)に名残をとどめている。ドナルド・フェイゲン(kb)、ウォルター・ベッカー(b、g)に複数のセッションdsというシンプルなバッキングだが、これは決して「名盤」ではない。あの時代によくありがちだったヒッピー崩れのアマチュアリズムあふれる一枚。シンプルな弾き語りもあるが、NYを感じさせる(思い出したのはボー・グランプス)”Bring The Hole Family”、マイケル・スタンレーもカヴァーしていたディランの”Subterranean Homesick Blues”がいい。ザ・バンドの出来損ないのような”Deep In The Middle”には苦笑。