ピチカート・ファイヴ


■女王陛下のピチカート・ファイヴ / ピチカート・ファイヴ
田島貴男オリジナル・ラヴから加えた第2期ピチカートの第1弾は、フィリー・ソウルをリスペクトした「ベリッシマ」だったけど、それに続くのがこの「女王陛下のピチカート・ファイヴ」('89)。映像のないサウンドトラックというか、架空の映画のサントラっぽい構成は、当時すごく新鮮に感じたものだった。あふれんばかりの造詣を披露した小西康陽の超オタク的な世界が開花した作品でもある。歌詞の主人公は都会で横文字の職業につき、クールな恋愛、生活をすごす20代後半の男性で、こういう世界にめちゃくちゃ憧れた時期もあった事を思い出す。田島、小西、高浪慶太郎(当時はこの字)のトリオに豪華ゲスト(花田裕之(ルースターズ/g)、越美晴佐々木麻美子野宮真貴(vo)、徳武弘文(g)、渡辺等(b)、金山功(perc)etc)を加えたもの。タイトルに映画からの引用(ゴダールの「男性・女性」からの台詞の引用も)もあって、そういうスノッブな世界になじめない人は全くダメだろうけど、89年当時僕は大いにはまった(ちょうど東京に出てきた頃)。"新ベリッシマ"では、花田の太いgが印象的(ライヴヴァージョンでは、ナポレオン山岸をフィーチャー)だしvibraphonが心地いい"リップ・サーヴィス"、衛星中継という60's的なキーワードを生かした同名の曲(後のvo、野宮(元ポータブル・ロック)が初登場)、60'sスパイ映画のイディオムを生かした「女王陛下のエロチカ大作戦」からの抜粋組曲(当然架空の映画で、「黄金の七人」あたりを念頭においたようだ)、S&Gを気取った(ナンシー・シナトラからの引用も)"ホームシック・ブルース"、オリジナル・ラヴのメジャー盤で再演する"夜をぶっとばせ"など名曲満載。
この年の文化の日、僕は学習院の学祭でストライクスとピチカートを見てる(当時フジの女子アナだった有賀さつきが近くにいた)けど、田島のワイルドでクレージーなステージングに辟易した覚え。僕が持ってるのは、89年に出た初回盤ではなく、その後再発されたもので一部編集済みのクレジットあり。どこが変わったんだっけ?