トム・ニューマン

Fine Old Tom
■Fine Old Tom / Tom Newman
今でこそヴァージンというレーベルは世界的に知られているが、元々は通販もしていた街のレコードショップだった。オーナーのリチャード・ブランソンという人は、結局は音楽そのものには全く興味がなく、あくまでもビジネスの手段としてレーベルを運営していたようだけど、その姿勢は、初期には非商業的なプログレッシヴな音楽を手がけ、後にニュー・ウェイヴ、レゲエを積極的に取り入れたレーベルの方針と一致する。
初期ヴァージンを代表するアーティストは、大ヒットした「チューブラー・ベルズ」のマイク・オールドフィールドだけど、そのLPでエンジニアだった、トム・ニューマンのソロも第1回リリースの1枚に選ばれた。数合わせという意見もあるが、ニューマンという人は60'sには、ジュライというサイケデリック・グループに在籍しており、そちらでも1枚リリース。さて73年の「Fine Old Tom」というソロは、ハードロックでもプログレでもない不思議な音楽。あえて言うと(R&B)+(ノスタルジック)+(サイケ)かな? バックには、ジュライのメンバーで、このバンドが後に移行するジェイド・ウォリアーのジョン・フィールド(wind〜「チューブラー・ベルズ」のA面でのfluteソロが素晴らしかった)とデイヴ・デューヒグ(g)、オールドフィールド(g,b)、ヘンリー・カウのフレッド・フリス(g)、クリス・カトラー(ds)、ロル・コックスヒル(sax)、ヒューイ・フリント(ds/マクギネス・フリント)、ニール・イネス(g/ボンゾ・ドッグ・バンド)、ミック・テイラー(vo)ら。いかにも前衛的な曲があることはあるが、全体のカラーはノスタルジック。オールド・タイミーなロッカバラードの"Suzie"に始まって、フィールドのrecorderによるモンドな"Pennywhistle Boogie"、ビートルズのカヴァー"She Said She Said"のA面がいい。かなりレアなLPだったが、日本では70's後半にビクター=ヴァージン時代に予約注文制の完全限定盤としてリリースされてたこともある。現行CDはボーナストラック9曲入り。