キンキー・ブート

キンキー・ブート~トリビュート・トゥ・ザ・キンクス
■Kinky Boot〜Tribute To The Kinks / various artists
キンクスは、それこそストーンズと並ぶ現役最長老バンドの1つ。80's半ばにPRT(当時はSMSというレーベルが配給していた)を通して再発されて以来、パイ音源は何度となく復刻され、その都度新しいファンを増やしてきた。実際82年の初来日は、レイ・デイヴィスが当時付き合っていたプリテンダーズのクリッシー・ハインドのからみで、東京公演のみだったのにかかわらず大盛況。その後復刻が続き、僕が郵便貯金会館でみた90'sの半ばの来日では、地味な曲を観客が合唱するという「マナー」が息づいており、演奏よりもそっちにカンドーした覚え。
これは、日本人アーティストによるキンクス・トリビュート。企画はコレクターズの加藤くんとライターの小松崎氏(この人は池袋WAVEの数々の企画を打ちたてた人。その節はお世話になったなあ)。ストレートなカヴァーも多いが(たとえば、全くスタイルを変えないシーナ&ロケッツとか、ミッシェル・ガン・エレファントのチバ・ユウスケとか)、そういうのはあまり感じない。その低音のヴォイスにぞくっとする鈴木祥子が取り上げた"Celluloid Heroes"や、ビートルズの"Rain"のエッセンスを振りかけたディキーシード・ザ・エモンズの"See My Friend"、独自の路線を歩むヒックスヴィルの"Afternoon Tea"(なんという渋い選曲)といった変化球がいい。またセレクト界隈では有名な土岐麻子をフィーチャーしたシンバルズの"Death Of A Clown"は、ジョー・ジャクソンの"Night & Day"のムードがあって、これまた素晴らしい。