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Hoy Hoy
●Red Streamliner / Little Feat
81年の解散後に出たリトル・フィートの「Hoy Hoy」は未発表テイクを中心とした裏ベスト的な内容のコンピレーションだけど、個人的にはオリジナル・アルバム以上によく聞いた1枚。そもそも「フィートとザ・バンドこそ本物のアメリカン・ロック」という考え方(誤解を恐れずに書くと、関西にはその傾向のファンが多い)にはどうも納得がゆかなくて、というか、その種の人々のフィートとザ・バンド以外は聞かない、というスタイルには、どうもなじめなくて・・・、あまりリトル・フィートにいい印象を持っていなかったのも事実。77年ごろFMでよくかかってた「Time Loves A Hero」の、当時の言葉で言うクロスオーヴァーな演奏は、苦手だった。だから初期のフィートがあんなにアーシーな感じだったなんて思いもつかなかったわけ。ドゥービー・ブラザーズのパット・シモンズとマイケル・マクドナルドがコーラスで参加した"Red Streamliner"は「Time Loves A Hero」に入ってたスタジオ・ヴァージョンよりも「Hoy-Hoy!」に収められたライヴの方がいい。こちらにもドゥービーの2人は参加していて、都会的な洗練されたコーラスをつける。曲を書いてるのはビル・ペインで、フィートのクロスオーヴァー化には、ポール・バレルとともに一役かっている。ローウェル・ジョージが精彩を欠いた(同時期のドゥービーもトム・ジョンストンが精彩を欠いてたことを考えると共に新旧交代の時期だったのか)この時期、ジョージの役割をバレルが担っていたことは事実(スライドの質感は違うけど)で、これに各種kbをあやつるペインの空間的な広がりのあるプレイがクロスオーヴァー的な演奏に不可欠だったようだ。
80年、初来日したニコレット・ラーソンのバンドには、バレル、ケニー・グラドニーのフィートのメンバー、ドゥービーのperc、ボビー・ラカンド、元フールズ・ゴールドのダグ・リヴィングストン(kb)、元ヴァン・モリソン・バンドのリック・シュローサー(ds)がいたけど、バレルが歌った"Romance Dance"で、初めて積極的にフィートというバンドに興味を持ったことを思い出す。