#2 ヒッチコックの10本
もしこれを読んでるあなたが、スリラー〜サスペンス好きで、古い映画に抵抗がなく、トリッキーな映像よりも「物語」に興味があり、なおかつヒッチコック作品をどれも見てないとしたら、こんなに幸せなことはないでしょう。
僕が初めて見たヒッチコック作品は大学時代、オリジナル公開時以来20数年ぶりのリヴァイヴァルとなった「裏窓」だったけど、確かN潟では何かの添え物として2本立てだった気がする。また家庭用videoもそれほど普及してなかった頃、チェックして名画座を回り(そのために上京して)、デッキ購入後はレンタルで見まくった(幸いヒッチコックはメジャー配給だったので、イギリス時代はともかくアメリカ時代はすぐに大体の作品が見れた)。フィルムアート社の「ヒッチコックを読む」、トリュフォーがインタヴューした「ヒッチコック・トリュフォー」は今でも紐解く事が多いのだ。で、ヒッチコックの10本、基本的に順不同。
・裏窓('54)
最初に見たこれは別格。当初はアイリッシュの短編の映画化という興味で見始めたのだけど、いつしか惹きつけられた。冒頭のシーンでジェームズ・スチュワートのギプスと写真のカットだけで、状況を説明してしまう見事さに参る。グレース・ケリーの上品な美しさも印象的。
http://d.hatena.ne.jp/Finyl/20060908#p1
・知りすぎていた男('56)
イギリス時代の「暗殺者の家」('34)のリメイクだが、より豪華になっていて楽しめる。一番好きなのは「アンブロウズ・チャペル」のくだり。ドリス・デイの”ケ・セラ・セラ”は映画を離れて有名になった。
・サイコ('60)
ロバート・ブロック原作。サイコという言葉自体がこれで有名になった感じがある。アンソニー・パーキンスはよくこの役を引き受けたなあ、とも思う。冒頭のジャネット・リーの情事のシーンでの黒ブラは当時のプロダクション・コードすれすれだったのかも。バーナード・ハーマンの音楽も最高だ。B級ショッカーに徹した演出もすごい。
http://yellow.ap.teacup.com/walkaway62/img/1096987769.jpg
・鳥('63)
「サイコ」に続く作品として公開され全世界的にヒットしたもの。いわゆるパニック映画の仲間には入るが、原因にまったく触れられずひたすら恐怖のツボを突く。原作はダフネ・デュ・モーリア。ヒロインはティッピ・ヘドレン。
・ダイヤルMを廻せ('54)
グレース・ケリーの出演したヒッチコック作品はどれもいいけど、これも小粒ながらいい。フレデリック・ノットの舞台劇の映画化。リメイクされた「ダイヤルM」はかなりひどかったが。
・見知らぬ乗客
交換殺人をテーマにしたパトリシア・ハイスミスの原作の映画化。やや古くさい点はあるけど物語として飽きさせない。娘パトリシア・ヒッチコックも出演。
http://d.hatena.ne.jp/Finyl/20060801#p1
・めまい('58)
ボワロー&ナルスジャックの「死者の中に」の映画化。キム・ノヴァクのグラマーぶりばかりが目立つような気がして昔はあまり好きじゃなかったけど、最近それも含めて好きになった(^^)
シスコの町並みが美しい。ソウル・バスのタイトルバックも見事。
・海外特派員('40)
「レベッカ」('40)で渡米後の第2作で、戦前の作品の為、日本公開は相当遅くなったが、この時期の作品では、評価の高い「疑惑の影」や「汚名」よりも好き。これも今となっては古くさい部分は否めないけど。
・ハリーの災難('56)
珍しくブラックな味わいのコメディーで、ハリーという名の死体をめぐってのやり取りが面白い。世界的に不入りだったようだけど。シャーリー・マクレーンのデビュー作。
・引き裂かれたカーテン('66)
ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースが共演したこのスパイもの、評価は散々だけど、どことなく憎めないのだ。オーヴンの中に敵のスパイの頭を入れてチンするシーンは、印象的。