鳥#7

バンドワゴン
■ウッドペッカー / 鈴木茂
今日は「キツツキ」。最終作にてLA録音を敢行した、はっぴいえんどだが、解散後鈴木茂が、単身渡米し、ここで得たコネクションを利用して完成させたのが初ソロ「Band Wagon」('75)。当初予定されていたリトル・フィート一派とのセッションが暗礁に乗り上げ、失意のうちに帰国、となりそうなところを救ったのが元サンタナのダグ・ロウチ(b)の存在で、ロウチのコーディネートによりシスコ録音が実現。デヴィッド・ガリバルディ(ds/タワー・オブ・パワー)、ドン・グルーシン(kb)、グレッグ・エリコ(ds)、ビル・ペイン(kb)が参加。この後ツアーから戻ったフィーとの面々と合流。引き続き加わったペインを中心に、ケニー・グラドニー(b)、サム・クレイトン(perc)、リッチー・ヘイワード(ds)が参加したLA録音だ。
「Band Wagon」に関しては90'sのはっぴいえんど再評価と共に、クラブ世代を中心に圧倒的な支持を得た感があるが、鈴木茂の歌は、お世辞にもうまくなく、大瀧調の歌い方も未完成。けれど74年という時代らしいファンク・ミュージックの消化ぶりがなんとも素晴らしい演奏がこのアルバムの魅力。"ウッドペッカー"は、ロウチ=ガリバリディー=グルーシンによるシスコセッションで、スライドのリフが爽快なインスト。かせきさいだあが"相合傘"でも引用していた。この布陣は名曲"砂の女"と同じだが、演奏の密度という点では、フィート一派が加わった"スノー・エキスプレス"にやや負ける。