train#3
■Keep This Train A-Rollin' / The Doobie Brothers
現在でも活動続けるドゥービー・ブラザーズだけど、個人的に一番好きなのは、マイケル・マクドナルド参加初期で、それまで汗くさいワイルドなヤツと都会的な洗練されたのが混在した感じがいい。でもこれは一瞬で、スタジオ盤では「Minute By Minute」あたりでマクド色が濃くなってきたし、ライヴでもジェフ・バクスター、ジョン・ハートマンが抜けて新メンバー3人が入ったあたりから、ソウルジャズ的なイメージが強くなってきた(それを思うと2度目の来日を見れたのは良かったな)。だいぶ待たされて80年に出た「One Step Closer」は、AORの時代にリリースされた唯一のスタジオ盤で、前作「Minute〜」がAORシーンに与えた影響の大きさを感じると、さすがにヴェテランらしくソツのない出来ばえ。リアルタイムで聞いてたけど、これはロックなのか?と聞かれるとちょっと困る。少なくとも2〜3年前までは、パトリック・シモンズのルーツにはフォークやロックンロールがあった筈なのに、ここでは率先してブルー・アイド・ソウル的な音楽に身をゆだねてる感じ。初期のドゥービーズの熱心なファンがよく言われるようにマクドが、このバンドをダメにしたわけではなく、シモンズの触媒体質というか、影響されやすい部分も問題あったのでは?先行シングルは、パトリック・ヘンダーソンとの共作"Real Love"で、これや"Dedicate This Heart"あたりはいいが、他のメンバーが書いたマクドっぽい曲はどれも、イマイチだった。"Keep This Train A-Rollin'"は、モータウンっぽい部分もある曲だけど、organとclavinet、pianoを使い分けるマクド色が濃いもの。幸いマクド本人の作で、ソウルフルな歌声も聞かせる。