■■■ファール・プレイ('78米)

Foul Play [VHS]
監督:コリン・ヒギンズ
主演:ゴールディー・ホーン、チェヴィ・チェイス、ダドリー・ムーア

今では忘れられてるけど、70's半ばまでコメディーはコメディー、アクションはアクション、サスペンスはサスペンスだった。つまり笑えるサスペンスなんて存在しなかったのだ。そういう意味でもこれは画期的な1本。「少年は虹をわたる・ハロルドとモード」の脚本を書いたコリン・ヒギンズの監督デビュー作で、ヒッチコックへのオマージュを捧げたもの。とはいってもブライアン・デ・パルマのような真摯なスタイルではなく、その部分は真面目にやり、後の部分で笑わせる。ゴールディー・ホーンという人は一歩間違えるとただうるさいだけのような役柄が多いけど、ここでのグロリアは、キュートな役柄でチェイスとのラヴ・ロマンスがまずあって、ムーア(「ミスター・アーサー」などコメディー作は多いけど本気で笑ったのはこれのみ)のいささか下ネタっぽい笑い(登場のシーンでは"Stayin' Alive"がかかり、自宅がラブホorアダルトショップ風となっている)、dowarf(こびと、と訳せないので「ちっぽけ」という字幕は苦肉の策だ)にからむギャグ(ここでゴールディーはイーグルスの「On The Border」のTシャツを着ている)などがあり、「知りすぎた男」などまきこまれ型のヒッチコック・サスペンスのパロディー(「ダイアルMを廻せ」の鋏も)でしめるという構成。また珍妙な日本人旅行客(やってるのは中国人だけど)、サン・フランシスコの坂を使ったカー・シーン(もろ「ブリット」風)もある。きっかけとなったフィルム(タバコの中に入った)は結局のところ話を転がすだけの小道具(ヒッチコックマクガフィンと呼んだ)だったり、映画館で隣に死体など、かなり細かい映画愛に満ちている。主題歌はバリー・マニロウで、昔は歌を代えて欲しかったけど、今の感覚ではそうでもない。他にはブライアン・デヒニー、レイチェル・ロバーツ、バージェス・メレディス、マーク・ローレンス(アルビノ系の殺し屋)ら。乞DVD化(こればっか)

The Foul Play、Paramount、1h56