jesus#2
■He Never Lived A Day Without Jesus / Don Nix
ドン・ニックスといえば、フレディー・キングに書いた"Going Down"がジェフ・ベックに取り上げられた事によって、ハードロック方面でも知られるようになった人。元々は60'sにスティーヴ・クロッパー、ダック・ダンらと組んだマーキーズのメンバーで、解散後リオン・ラッセルとゲイリー・ルイス&プレイボーイズのセッションに参加したり、メンフィスのスタックスでprodをしたりと、裏方的な仕事が多かった。その頃の仕事で有名なのは"Going Down"のオリジナルとなった、モロク(Moloch)で、ニックス自身もメンバーとして参加。音は南部的なノイジーなブルーズロックで、日本でもかつてCD化されたことがあった。リオンがデニー・コーデルと共同で設立したシェルター・レーベルの第2回リリースとなった「In God We Trust」は、ニックスの初ソロとして70年にリリース。マッスル・ショールズ録音で、バリー・ベケット(kb)、デイヴィッド・フッド(b)、エディー・ヒントン(g)、ロジャー・ホーキンス(ds)が参加。ゴスペル色の強さでは、リオンに負けていないが、あそこまでアクの強さはなく、むしろ優しげな感じで聞きやすい。カントリー・ブルーズ・シンガーのファーリー・ルイス(g)や、マーリンとジーニーのグリーン夫妻(共にエレクトラからソロあり、ここではMt.Zion Singersを名乗っている*1)もコーラスで参加、辛口と甘口それぞれの方面で大いに貢献している。特にジーニー・マーリンのゴスペル・ライクなコーラスは、不思議に敬虔な気持ちになるからおもしろい。
J.A.スペルのfiddleをフィーチャーしたタイトル曲から始まって、ラストの"I've Tried"まで一気。あっという間に終わってしまうが、きき所は多い。"He Never Lived A Day Without Jesus"は、収められた3曲のトラッド(一番有名なのはグレッグ・オールマンやNGDB、ジェリー・ジェフ・ウォーカーも取り上げた"Will The Circle Be Unbroken")同様、神について歌われたもの。