nobody#3

John Simon's Album
5■Nobody Knows / John Simon
ミュージシャンあがりのプロデューサーというのは多いですが、プロデューサーとしてある程度名声ある人が、レコードを出すというのは、あまり多いことではないでしょう。ジョン・サイモンはこのパターンです。60'sにサークル、サイモン&ガーファンクル、レーナード・コーエンなどColumbiaレーベル専属のプロデューサーとして、さらにデビュー間もないザ・バンドを手がけた人ですが、歌いたいという気持ちを抑えられず70年にひっそりとリリースされた「John Simon's Album」は、1〜2年であっさり市場から姿を消し、ウッドストック系の屈指の名盤として75年頃から好事家の間で名前が出るようになりました。ザ・バンドとの仕事が評価されたこと、リオン・ラッセル、ジョン・ホール、デラニー・ブラムレット、リタ・クーリッジら参加したミュージシャンの知名度が上がってきたこともあったでしょう。70's後半にワーナーから日本盤LPが出る少し前には、カット・アウト盤が放出されるという情報が流れると輸入盤店に行列ができたといいます。
実際今聴き返しても、十分に感動させる歌声(うまくないですが)です。さらにそれだけならよくある伝説の人だったのですが、長門芳郎さんらの熱心な呼びかけに答えて日本のパイオニアLDCというレーベルから、新作が出たのが92年のこと。その後サイモンが音楽を手がけた非商業的な映画のサントラは出るわ、来日はするわ、新作は続くわと結構な盛り上がりでした。
サイモンの場合素養はやはりジャズで、それが活かされたのが2枚目の「Journey」だったわけで、この"Nobody Knows"は、"Rain Song"と並んで弾き語りのものなんだけど、すごくジャズっぽい。