sad#2

Traffic

Traffic

297■Don't Be Sad / Traffic
初期トラフィックにおいてデイヴ・メイスンの立ち位置というか、他のメンバーとの力関係がイマイチよくわからない部分があるのは、現在の視点で見ているからでしょう。デビュー作「Mr.Fantasy」でも他の3人とメイスンは曲作りでも一線を画し、浮いている感じは否めません。元々スペンサー・デイヴィス・グループのvoとして天才少年として注目されていたスティーヴ・ウィンウッドとローディーあがりのメイスンを比較しても仕方ないですが、それでも曲作りの面でメイスンの才能をウィンウッドは一目置いていた(過大評価していた)ようで、セカンドの「Traffic」でも共作を含めると半分の5曲を書き、歌います。
残りのウィンウッド=キャパルディ作の5曲中3曲で、メイスンが一切かかわってない事を考えると、司令塔のウィンウッドがメイスンに求めたのは当然チームワークではなく、曲作りの才能と思われます。実際68年にリリースされたこのセカンドのあとメイスンはバンドを抜け、残った3人でステージをこなすことになるのです。
ジミー・ミラーがprodしたこのセカンドは、前作のサイケデリックな味わいは薄れ、ダウン・トゥ・アース的な色合いが濃くなっています。これはメイスン色が露わになった事、前作の様なブルーズ臭の少ないサイケデリックな音の限界を感じ取ったからでしょう。メイスンの代表作である"Feelin' Alright"を始め混沌としたサウンドの"Cryin' To Be Heard"、そして"Don't Be Sad"といったナンバーが充実しています。
重厚なorganをフィーチャーした重い曲が多く("No Time To Live"がその筆頭)アルバムの印象もジャケットほど明るくはないですが、何故か忘れられない1枚です。