Isn't It Lonely Together:Estelle Levitt

イズント・イット・ロンリー・トゥゲザー(紙ジャケット仕様)

イズント・イット・ロンリー・トゥゲザー(紙ジャケット仕様)

実に渋い女性sswです。というか女性ソングライターの自作自演アルバムといった趣なんですが。ジャンルで言うとブリル・ビルディング・ポップス(そんな言葉があるのか?)。主に60'sに色々書いた作詞家で、ハーマンズ・ハーミッツの"This Door Swings Both Ways"('66)、ジャスト・アスの"I Can't Grow Peaches On A Cherry Tree"('66)、ペギー・リーの"In The Name Of Love"('64)etc
このアルバムはおそらく唯一のソロで74年にBuddahからのリリース。トレイド・マーティンのソロやバリー・マンCBSからのソロに近い、ロックでもジャズでもR&Bでもないポップの世界です。バックに参加しているのはケン・アッシャー、ポール・グリフィン(kb)、ボブ・バビット、トニー・レヴィン(b)、コーネル・デュプリー、ジェフ・ミロノフ、ジョン・トロペイ(g)、アラン・シュワーツバーグ(ds)らといった、ボニー・レイットの「Streetlights」の様な名うてのNYのセッションマン。はっきり言って派手な世界ではなく、作家が他人に書いた曲を歌う楽屋落ち的なムードもあるのですが、手堅い印象も受けます。まずタイトル曲の"Lonely Together"は、スターク&マクブライアンが75年にヒットさせるもので爽やかな印象を受けるポップス。この年のアメリカン・ソング・コンテストの優勝曲です。マクブライアンとの共作。前述のジャスト・アスとハーマンズ・ハーミッツのナンバーはカントリー・タッチのワルツ曲。これも前述のペギー・リー曲はケニー・ランキンとの共作になるジャジーなナンバー。ビヴァリー・ブリーマーズで有名な"Don't Say You Don't Remember"は作者が歌うと結構ダルなムードです。チャーリー・カレロとの共作の"Good Morning Captain"は、軽快なポップ曲で、思わず歌いだしそうな感じ。そしてラストの"I Was Born To Rock 'N' Roll"は、ドラマティックな印象を受ける力強いナンバーです。