look#3


■Look What We've Got To Do / Gillian McPherson
現在もジリー・マクファーソンとして活動を続ける北アイルランド出身の女性ssw、*1が、ジリアン・マクファーソン名義で71年にリリースしたデビュー作が「Poets And Painters And Performers Of Blues」(RCA)です。英フォークの関係の本*2には、載ってることが多いけど、ポップス的とか書かれて、下に見られてるのがなんとなく悔しい思いです。北アイルランドのアルスター地方(最大の都市はベルファスト)出身だから皆ケルト的な音楽をやってるわけではなく、ジリーの場合、アルスターのラジオやTVで歌ったりしていたところを見出されて、ペンタングルのダニー・トンプソンのprodでデビューとなりました。このLPには、マーク=アーモンドのジョニー・アーモンド(sax)、ジョン・マーク(g)、そのM=Aのバックをつとめたトミー・アイア(kb)、ニュークリアスのロイ・バビントン(b)とブライアン・スプリング(ds)といったテクニック的に申し分ない職人が参加していて、それがゆえにそういった本に取り上げられることが多かった(おそらくは聞いたことがある人も少なかったことでしょう)ようです。決してトラッド・フォークの流れにあるものではない、むしろフォーキーなブリティッシュ・ポップといった感じです。湖の前で佇む少女(という年齢ではないのかも)という構図は、キャサリン・ハウの有名な「What A Beautiful Place」を思い出しますが、あっちは背を向けイメージを膨らませることができますが、ジリーはこちらを向いていてその分不利です(^^)
ホワット・ア・ビューティフル・プレイス
とまあここまではおととし書いたものをそのまま引用しています。
ジリーのこのLPは相変わらずオフィシャルな形では未CD化ですが、いろんなサイトで書かれたレヴューはジャジーと評されていますが、確かにそういう部分もありますが、基本的には派手じゃないポップでしょう。arr次第ではチャートを狙えるヒット曲になったかもしれませんが、ここではシンプルな作りに徹し、ジリーのアコギを中心に、strings(ロバート・カービーがarr)、vibe、sax、flute、organ、pianoが彩りをつける程度なので、逆にメロディーの良さが浮かび上がってきます。ニッキー・ホプキンスがそうだったように歌ものを引き立たせるトミー・アイアそして、ジョニー・アーモンドのサポートぶりが光ります。
"Look What We've Got To Do"はアイアの弾くエレピ(ここではelectric organとクレジット)がさりげなくそしてキメます。ヤマタケを思い出すのでなんとなく初期ルパンの劇伴をイメージするのです。

*1:オフィシャルサイトはここ

*2:「レココレ」'04/9ブリティッシュ・フォーク特集、「ラビリンス・英国フォークロックの迷宮」(白夜書房)