数奇な運命をたどった堕天使たち

Phil May & the Fallen Angels

Phil May & the Fallen Angels

■Fallen Angels
94年にStartというレーベルからCDが出るまでまったく知らなかったバンドです。このフォールン・エンジェルズは、なかなか複雑な経緯を持ったバンドです。
まずスプーキー・トゥース、スティーヴ・マリオット&オール・スターズのグレッグ・リドレー(b,vo)とミッキー・フィン(g,vo〜元ヘヴィ・メタル・キッズ)がトゥインク(ds〜元プリティ・シングス)、ガイ・ハンフリーズ(g〜元ウィンキーズ)、ボブ・ウエストン(g,vo〜元フリートウッド・マック)と新バンドを結成したのが76年。77年にはフィン以外のメンバーを一新。同じ頃活動停止したプリティー・シングスのフィル・メイ(vo)、ウォーリー・アレン(b,vo)、ムーンライダーにいたチコ・グリーンウッド(ds)、ストリートウォーカーズのブライアン・ジョンストン(kb)、そしてビル・ラヴレイディ(g)を加えた6人に落ち着き、スイスでレコーディングし完成したのが、この「Fallen Angels」です。
77〜78年という時代らしく、何でもありでブルージーなもの("Fallen Angels")、ウエストコーストっぽいもの("California")、ストーンズタイプのロックンロール("13 1/2 Floor Suicide")、フォーリナーの様なポップ・ロック("Cold Wind")初期のモット・ザ・フープルのようなディラン風のナンバー("Dance Again","My Good Friend")、泥くさくファンキーなナンバー("Shine On Baby")などが混然と並んでいます。そのどれもがポップでわかりやすいという部分に賛否両論あるようです*1が、例えば同じ時期に出たミック・テイラーのソロにも通じるものがあります。
但し78年になってフィンとラヴレイディが辞めた為、フランキー・ミラー・バンドにいた元ビーズ・メイク・ハニーのエド・ディーン(g)とフラン・バーン(ds)が加わり、新メンバーによる録音を何曲かを加えて(prodは元ロキシーのジョン・ポーターでこの人は後にスミスを手掛けて有名になります)オランダPhillipsのみでリリースされた事にこのバンドの分かりにくさがあります。当初はフィンが主導権を取りながら途中参加のフィル・メイが乗っ取ってしまった感があります。よって現行のCastle盤はフィル。メイ&ザ・フォールン・エンジェルズと言うクレジットです。
Start:SRH801-UK

*1:かつてストーンズが「不良」ならこいつらは「非常識」と評されたプリティーズのvoらしからぬという熱心な思いがあるのでしょう