ツギハギだらけ

They Only Come Out at Night

They Only Come Out at Night

■They Only Come Out At Night:Edgar Winter Group
ブルーズとかソウル・ジャズの観点で語られることが多いエドガー・ウィンター(kb,sax,vo)ですが、ダン・ハートマン(b,g,kb,vo)、チャック・ラフ(ds)をフィーチャーしたエドガー・ウィンター・グループは、グラム・ロックからの影響を受けつつ、ソウル・ファンクにも目くばせした東海岸のハードロックという印象があります。なにしろポップというのがいいです。EWGとしてのファーストは怪奇映画ばりのこの「They Only Come Out At Night」('73)で、ファンキーなインスト"Frankenstein"が#1をマークしていますが、"Free Ride"といったポップなナンバーも忘れられません。メンバーは3人にロニー・モントローズ(g)を加えた4人ですが、モントローズが自身のバンドを結成するために辞めると、ジェリー・ウィームス(g)が加わった様ですが(このあたりの順番はよくわかりません)、LPにはプロデューサーであり、ウィンター・ファミリーと関係が深いリック・デリンジャーも参加しています。
個人的にはアメリカンロックのあまり語られない名盤の1つで、ルーツにブルーズとR&Bとジャズを持つエドガー・ウィンターが過去3枚(ソロとホワイト・トラッシュ)でやってたことは白人によるソウルとブラスロックとロックンロールの融合みたいなことで、これに一区切りつけたあと、わかりやすいハードロックをやろうと思ったんでしょう。そのわかりやすさは、主にハートマンが担っていて、ポップなメロディアスな面が新しい血となってバンドは大きく開花しています。
ジャケットにはデリンジャーは扱いが小さく、ここではあくまでも黒子的な存在。けど"Round & Round"でsteelを弾いてカントリー・ロック風のテイストを出したり、"When It Comes"でslideを弾いたり(エドガーの吹くsaxとの相性も抜群)と印象に残ります。モントローズは、ここでも"Rock'N'Roll Boogie Woogie Blues"や"Undercover Man"で粘っこいgを聞かせる。圧巻は各人のソロを盛り込んだインストの"Frankenstein"で、このタイトルはダビングを重ねたツギハギだらけというところから、だそうです。

@Midnight Special

こちらはBBCモントローズなしの4人。