midnight#3

Front Page News

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■Midnight Dancer / Wishbone Ash
ウィッシュボーン・アッシュというと日本では、70'sにコピーバンドが多く存在したりと、ゼッペリン、パープル並みに人気があったといいます。ファンの多くは初期の名作「Argas」人気からでしょうが、テッド・ターナー(g)に代わってホームからローリー・ワイズフィールド(g,vo)が参加した頃よりバンドの音楽は徐々にアメリカナイズされたものになっていきます。当時はやれヒットチャート狙いとか言われたものですが、実験的、先鋭的と言われ独特の世界観を持つ、超個性的なブリティッシュ・ロックも73年あたりから、米ロック、ソウルなどの影響を受け始めています。初アッシュとなった77年の「Front Page News」(MCA)もまさにこの時期で、マイアミのクライテリア録音。prodはロン&アルバート・ハウィーです。いわゆるハードロックなイメージの曲は"Right Or Wrong"のみであとはメロウな泣きのgをフィーチャーしたものが中心。同じ頃リリースされたクラプトンの「Slow Hand」にも通じるものがありました(もちろんあそこまでレイドバックはしてません)。
"Midnight Dancer"はミディアム・テンポ(このパターンが多い)の力強いブギで、サザンロック的なムードもあります(そこまで泥くさくはない)。隠し味的に使われるスライド、マーティン・ターナーのファルセットなvoとコーラスと洗練されている部分とそうでない部分が混在した不思議な出来。それはアルバム全体に言えますが。
このアメリカ志向はセールス的には失敗して(3作連続でトップ100入りせず)、彼らは再び英国に戻り初期のprod、デレク・ローレンスを迎え「No Smoke Without Fire」(因果律という邦題でした)を出すのですが、すでにパンク〜ニュー・ウェイヴの波があってヴェテランには厳しい状況が続きます。