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Rock Bottom

Rock Bottom

■Little Red Riding Hood Hit the Road / Robert Wyatt
79年頃にビクターが生産枚数限定でリリースした(あらかじめ予約注文を取る形で)「ヴァージン・オリジナル・シリーズ」で聞く事が出来たのがロバート・ワイアットの74年のセカンド「Rock Bottom」です。79年当時プログレッシヴ・ロックは急速に過去の伝統芸能化してゆくのですが、大手のバンド以外はなかなか耳にすることも難しくなり、活字による数少ない情報で飢えを満たす一方、期待のあまり想像・妄想でイメージが肥大してしまった嫌いもありました。マッチング・モールの"O Caroline"は聞いてたかもしれませんが、ワイアットの音楽に触れたのは初めてでした。ライナーでは事故で下半身不随になってしまった才能あふれる悲劇のミュージシャン、的な扱いで、僕も当時はそうか…かわいそうな人なのだなあ、という受け取り方をしていたのですが、全く茶番ですよね。dsとしての道は失いましたが、ユニークなvoとしての存在感は十分です。ピンク・フロイドのニック・メイスンのprodで、マイク・オールドフィールド(g)、ヘンリー・カウのフレッド・フリス(viola)、元ゴングのローリー・アラン(ds)、マシーン時代の仲間ヒュー・ホッパー(b)、ワイルドフラワーズ時代の仲間でハットフィールズのリチャード・シンクレア(b)といったレーベル・メイト、ゲイリー・ウィンド(sax)、モンゲジ・フェザ(tp)らジャズ系のミュージシャンも参加しています。
"Little Red Riding Hood Hit The Road"と"Little Red Roin Hood Hit The Road"は対になった曲で、元々マッチング・モール用に書かれたものという事です。
不運な境遇に付き物の悲壮感はなく、むしろ淡々と歌われる歌の数々は、一抹の不安を感じさせるけど不思議な美しさに満ちています。文句なしのワイアットの代表作です。この後、CBSから再発されたファースト「The End Of An Ear」をマッコイで、大学に入ってからブラックライオンで次の「Ruth Is Stranger Than Ricahrd」を買ったのですが、ジャズ的な難解さが先に立って、「Rock Bottom」の分かりやすさが身にしみました。
05年にこのレコーディング・メンバーによる74年9月のドルリー・レーン劇場でのライヴ音源がCD化されています。
Drury Lane

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