long#2

Snafu

Snafu

■Long Gone / Snafu
ホワイトスネイクそのものにはそれほどの思い入れはないけど、カウボーイ・ハットをかぶったスライド・ギタリストのミッキー・ムーディーの姿は、70's末には異彩を放っていました。デイヴィッド・カヴァーデイルの最初のソロ「Whitesnake」から参加してる人で、日本では当時はほとんど無名な存在。元ジューシー・ルーシー〜スナフーとか言ったって、何の効力もなかった。ジューシー・ルーシー解散後ムーディーが結成したのがこのスナフー。後にインタヴューでオールマン・ブラザーズみたいな事がやりたかったと語っているけど、当時の英国では珍しいストレートなサザン・ロック・スタイルだし、更に同時代の黒人音楽(ブルーズやR&Bではなくソウル)からの影響も大きいです。
メンバーは初期のプロコル・ハルムのdsだったボビー・ハリソン(vo)、パラディンというラテン風味のハードロック・バンドにいたピート・ソリー(kb,fdl)、マーク=アーモンド周辺のセッション・マン、コリン・ギブソン(b)、ムーディーとはトラムラインというバンドで一緒だったテリー・ポップル(ds)の5人。
73年に出たファースト「Snafu」は水牛が耕す奇妙なイラストのジャケット(ロジャー・ディーン)で、当時日本では全く紹介されることがなかったのも十分頷ける内容です。つまりはハードロックでもプログレでもない、ブリティッシュ・ロックとしか言いようがないバンドは、レコード会社(フォノグラム)も売れないと判断したんでしょう。リリースはWWAというVertigo傘下のレーベル。演奏は、ムーディーのスライドの入ったサザン・ロック風のもの、ソリーのfiddleの入ったカントリー・ホンクなもの(決してカントリー・ロックには聞こえない)、ファンキーな味付けのものに分けられるが、彼らの真骨頂は3番目のタイプでしょう。ソウルからの影響を受けたエレピと繰り返されるワウワウが印象的な"Goodbye USA"、"Drowning In The Sea Of Love"(ジョー・サイモンのカヴァー)は、異様な迫力があります。"Long Gone"もこのタイプで、重いリズムと暑苦しいvoが印象的です。レココレ'06/11のフリー特集で和久井氏が「メタルに向かわなかったこういうバンドにフリーの影響が残ったというのが英国ロックの正統をたどるヒントか」と書かれています。
奇妙なバンド名はSituation Normal All Funked Up(第二次大戦の前線兵士でのスラングで、「大混乱」の意味)からなります。ちなみのセカンドは「Situation Normal」、サードは「All Funked Up」という、何も考えてないぶりも楽しい。僕が初めてこのバンドの音を聞いたのは、80'sの半ば上京して下北フラッシュで「買い付け」したボロい米盤LPでした。

この曲はイントロがフェード・インするやつ。英国盤のヴァージョンとは別です。こっちの方は未CD化。カッティングとワウワウをぜひ堪能して欲しいなあ。
その後独RepertoireからCD化、現在はファーストはセカンド2in1で英Angel AirからCD化されています。バンドは3年活動したが売れなかったことを理由に解散。ムーディーはそのままカヴァーデイルの元に。ソリーも一時期ホワイトスネイクのメンバーだったこともあるが、その後プロデューサーに。ハリスンは、ノーバディー・ビジネスに参加します。

非常にレアな動画です。ソリー脱退後のメンツ。
ちなみに3枚とも来月Airmailから紙ジャケ予定ですが、バンド名が「スナッフ」になってます(!)ちゃんとして欲しいなあ。