#2■隠し芸の男:城山三郎

名短篇、ここにあり (ちくま文庫)

名短篇、ここにあり (ちくま文庫)

「名短篇、ここにあり」(ちくま文庫)は、北村薫宮部みゆきという目利きが選んだアンソロジーで、例えばミック・パトリックあたりが監修したオールディーズのコンピCDに通じる楽しさがあります。つまりはジャンルを問わない短編という大海から拾われた珠を見る楽しみ。このアンソロジー読まなきゃ知ることもなかった純文学の大家の味わいある短編が楽しめます。城山三郎は「総会屋錦城」('59)で直木賞を取った人。何んとなくノンフィクションというイメージがあります。「隠し芸の男」は悲哀あふれる会社員小説。こういうのがわかるのが大人になった証拠?もひとつ出張先のホテルの冷蔵庫の霜取りを大の大人が夜中まで書かてする「冷たい仕事」(黒井千次)も見事な会社員短編。