ジューシー・ルーシー

Juicy Lucy

Juicy Lucy

Juicy Lucy
ブルーズ・ロックやハードロックにとどまらずUKスワンプという概念を教えてくれたのが、やっぱりジューシー・ルーシーだと思います。
バンド名は、ホワイトスネイクのライナーなどで昔から知ってたけどなかなか耳にすることはできなくて、80's後半やっと見つけたのが3枚目。新潟から"買付"に出かけたフラッシュにて。その時に一緒にこのファーストも購入。
見るに堪えないデブ専のオバハン(彼女がルーシーなんでしょう)が果汁まみれになった悪趣味なジャケのデビューLP「Juicy Lucy」は、69年Vertigoからリリース。#41UK。元々は西海岸のサイケデリック・バンド、ミスアンダーストゥッドが渡英してロンドンで活動を始め、ここのグレン・ロス・キャンベル(steel)とクリス・マーサー(sax,kb)がレイ・オーウェン(vo)、キース・エリス(b〜元クーバス)、ニール・ハバード(g〜元グリース・バンド)、ピート・ドブソン(ds)が結成した5人組。いかにもアンダーグラウンドなサイケ臭があって、まだあからさまな米南部志向はなく、68年の英ブルーズ・ブームの余波というか熱気が感じられる音。ヒットした"Who Do You Love"はボ・ディドリーのカヴァーで、ロニー・ホーキンスのカヴァーもあったが、voに歪ませ方がもっとダーティーで極悪っぽい。跳ねまわるsteelが素晴らしい"She's Mine"と"She's Yours"のメドレーがA面のハイライト。

"Just One Time"、"Are You Satisfied?"はフォーク・ブルーズ的なもの。"Chicago Northwestern"はキャッチーなメロディとsteelのリフが心地いい。

"Train"はバディ・マイルズの(voはエリスか)、"Nadine"はチャック・ベリーのカヴァーで、この辺の味わいがやや混沌としている。
bassのキース・エリスは、後にボクサーにも加わる人ですが、69年にVDGGの結成にもかかわっており、これは末期ミスアンダーストゥッドにガイ・エヴァンス(ds)、ニック・ポッター(b)が参加していたからみもあるのか。デビュー作リリース後、レイ・オーウェン(レイ・オーウェンズ・ムーンを率いてPolydorからデビュー。ジミ・ヘンっぽいロックでした。その後解散したジューシー・ルーシーを再結成するなど混乱を招く活動をしています)、ピート・ドブソン(70's末にニュー・ウェイヴのダッフォーに参加)、ニール・ハバード(スプーキー・トゥース、ココモに参加)が脱退しています。